高市早苗首相、食料品消費税0%を否定 過去発言と矛盾し支持層に波紋

高市早苗首相は11月5日の衆院本会議で、野党が提案した「食料品消費税率の0%引き下げ」に対して否定的な見解を示した。政府は物価高対策としての実施を検討していないと明言し、その理由として「レジシステム改修などに時間とコストがかかる」と説明した。この発言は、首相がかつて自ら掲げていた政策方針と矛盾する内容となり、支持層の間で波紋を広げている。

高市首相は、今年5月の経済政策関連討論で「食料品は国民の生活基盤であり、消費税0%を目指すべきだ」と述べていた。今回の国会答弁では、その方針を事実上撤回する形となり、SNS上では「政策の一貫性を欠く」との批判が相次いでいる。支持者の中からも「かつての発言を信じて応援していたが失望した」とする投稿が見られ、政治的な影響が広がっている。

一方で、政府関係者は「食料品消費税の0%化は制度的に複雑で、レジ改修や事務手続きに膨大な費用が生じる」と説明。財務省も同様に「短期間での制度変更は現実的でない」との立場を示している。高市首相は「現行の軽減税率制度を維持しつつ、低所得者層への直接的支援を拡充する方が効果的」と強調し、現実的な政策対応を優先する考えを示した。

野党側はこの説明に対し、「レジ改修を理由に政策転換を正当化するのは筋が通らない」と反発。立憲民主党の代表は同日の質疑で「5月の首相発言と整合性が取れない」と追及し、与党の説明責任を問う姿勢を見せた。日本維新の会や国民民主党なども同調し、「国民生活に最も影響する政策分野で発言が変化したこと自体が問題だ」と批判を強めている。

与党内でも一部議員から懸念が出ており、「選挙前に掲げた政策と矛盾している」「支持基盤の保守層に誤解を与える」との声が上がっている。党内関係者によると、首相発言の修正を求める動きも一部で浮上しており、政権運営への影響を懸念する見方が広がっている。特に、物価高が続く中で生活防衛策を求める世論が強まる状況下では、今回の発言が政治的な火種となる可能性もある。

SNSでは「裏切り」「掌返し」といった言葉が拡散し、首相支持層の一部からも批判的意見が目立っている。経済評論家の間では「高市首相は現実的判断を優先したが、説明の不十分さが逆効果を生んでいる」との分析もある。政府の支持率は10月時点ですでに40%を下回っており、今回の答弁がさらなる下落要因となるとの見方が出ている。

政府は今後、所得税減税や電気・ガス料金補助など既存の物価高対策を中心に施策を進める方針だが、消費税政策に関しては「当面変更を検討しない」との姿勢を崩していない。高市首相は会見で「国民の生活を支えるための施策を総合的に進めていく」と述べたが、政策方針の軌道修正を求める声は野党だけでなく与党内からも上がっており、政権の立て直しが急務となっている。

専門家の間では、「税制改革を政治的テーマに据えてきた高市首相にとって、今回の判断は戦略的後退を意味する」との指摘もある。政策の現実路線化によって財務当局との調整は容易になる一方で、支持層の離反をどこまで抑えられるかが今後の政権運営の焦点になるとみられている。

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