
神奈川県警は、秦野警察署に所属する40代の男性巡査部長と20代の女性巡査が、勤務中に交番内で不適切な関係を持ったとして、いずれも減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とした。県警監察官室によると、2人は2024年6月下旬から8月にかけて、当直休憩時間中に交番の仮眠室などで複数回にわたり不適切な行為を行っていたという。
この事案は、署内に寄せられた匿名の投書によって発覚したもので、上司を通じて県警監察官室に報告された。県警が内部調査を進めた結果、勤務中に2人が頻繁に同じ当直勤務に入っていたことや、交番内で長時間2人きりになる時間帯があったことが確認された。監察官室は「公務員として極めて不適切であり、県警職員の信用を著しく損なう行為」として、懲戒処分を決定した。
調査によると、男性巡査部長は既婚者であり、家庭がある身だった。事情聴取では「後輩から慕われていると感じ、断りきれなかった」と弁明し、関係の継続を否定している。一方、女性巡査は「恋愛感情はなく、上司の立場に逆らいにくかった」と説明しており、双方の認識に食い違いが見られるという。県警は、上下関係を背景とした職務上の影響があった可能性を否定していない。
当直勤務中の交番は、市民の安全確保を担う重要な拠点であり、夜間も緊急通報や巡回活動への対応が求められている。県警関係者は「そのような場所での行為は、市民の信頼を根底から揺るがすもの」と述べ、今回の処分を「警察組織としての自浄作用を示すもの」と位置付けた。
秦野署では、当直勤務の際に複数名での勤務体制を基本としているが、当日は他の職員が巡回に出ていた時間帯を狙って行為に及んだとみられている。監察官室は「勤務時間中の行為であり、休憩中であっても職務専念義務に違反する」と指摘した。
今回の発覚を受け、神奈川県警では全署員を対象に服務倫理の徹底を指示。特に上司と部下の間における指導関係を利用した不適切行為の防止に向け、相談体制の強化や勤務記録の厳格管理を進める方針だ。県警幹部は「信頼を取り戻すためには、組織としての意識改革が不可欠だ」と述べている。
神奈川県警では過去にも複数の不祥事が相次いでおり、2025年に入ってからも数件の懲戒処分が公表されている。特に、近年は職場内での不適切な関係やSNSを通じた交流による懲戒事案が増加しており、監察官室は「個人の倫理観の欠如が組織の信頼を損ねる典型的な事例」として、再発防止教育の必要性を強調している。
一方で、現場職員の間からは「人員不足で勤務が過密になっており、心身の余裕がない」「職場の雰囲気が閉鎖的で、相談しづらい環境がある」との声も上がっている。今回の問題は、単なる個人の不祥事にとどまらず、警察組織全体の勤務体制や人間関係の在り方にも一石を投じる結果となった。
県警は今後、内部通報制度の運用を見直し、匿名であっても事実確認を迅速に行う新体制を整備する方針を示している。
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