【前編】黒部市・実父による性的暴行事件|「抵抗できたか」をめぐる裁判 家庭内で続いた3年間の被害

富山県黒部市で発生した実父による性的暴行事件は、家庭内という外部から把握しにくい環境で繰り返された行為を、どのように法的に評価するかが問われている。争点は明確である。被害者が「抵抗できない状態」にあったかどうかである。

被告は大門広治(54歳)。当時は会社役員、現在は無職と報じられている。
被害者は長女の福山里帆さん(現在26歳)。福山さんは2024年3月、実名と顔を公表して被害を明らかにしており、現在もPTSDの症状と向き合いながら発信を続けている。

起訴対象となったのは2016年8月頃の出来事である。黒部市の自宅で、母親が外出している時間帯に鍵をかけ、当時高校2年生だった長女に対し性的暴行を加えたとして、準強姦罪で起訴された。

しかし、公判で明らかになった内容は単発の事案ではない。被害は中学2年生の夏から高校2年生までの約3年間にわたり、複数回繰り返されていた。被告自身も法廷で「8回程度」と証言している。

「抵抗できたか」という争点

被告は性行為の事実は認めているが、主張は一貫している。
「抵抗できない状態ではなかった」

検察側はこれに対し、家庭内の関係性に着目した。

・父親という立場による心理的支配

・生活基盤を握られている状況

・進学や家庭内の立場を失うことへの恐怖

これらが重なり、被害者は明確な拒否行動を取ることが困難な状態に置かれていたと指摘した。

一審判決:懲役8年

2025年10月21日、富山地方裁判所は懲役8年の実刑判決を言い渡した。

判決は以下の点を認定している。

・家庭内という発覚しにくい状況を利用した

・被害が長期間に及んでいる

・被害者の生活や進学への影響が大きい

その上で、
「実質的に抵抗が著しく困難な状態にあった」
と判断した。


控訴審へ

被告側はこの認定を不服として控訴した。

名古屋高裁金沢支部で行われた控訴審初公判(2026年3月19日)では、被告が
「娘の人生を狂わせた。深くおわびしたい」
と謝罪の言葉を述べた一方で、弁護側は
「抵抗が困難な状態だと認識していなかった」
として、改めて無罪を主張した。

審理は即日結審し、判決は2026年4月21日に言い渡される予定である。

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