別府ひき逃げ殺人事件から3年半 大分県警が別府湾海底捜索開始 逃走か死亡か、容疑者の行方を追う

2022年6月に大分県別府市で発生した大学生死傷ひき逃げ事件から3年半。依然として逃走を続けている八田與一容疑者(当時29歳)の行方を追うため、大分県警は今月上旬から別府湾一帯での大規模海底捜索を開始した。県警は事件の風化を防ぐとともに、容疑者の逃走または死亡の両面で捜査を継続している。

事件は2022年6月29日夜、市内の県道沿いで発生。バイク2台で走行していた大学生らを軽乗用車が追突し、男性1人が死亡、もう1人が重傷を負った。事故後、車を運転していた八田容疑者は現場に車を放置したまま逃走。防犯カメラには、事件直後に海側へと歩いていく姿が映っており、その後の足取りは途絶えた。

大分県警は当初から、逃走経路の一つとして別府湾への転落・自殺の可能性も視野に入れていたが、決定的な証拠は得られなかった。今回の海底捜索は、当時の捜査記録を再分析した結果、「逃走経路の再検証が必要」と判断したもの。海上保安部や地元漁協と協力し、潜水士やROV(無人潜水機)を投入して、海底に沈んだ車両部品や遺留物を探している。

別府湾は水深が最大で60メートルを超え、地形が複雑なうえ潮流も速い。県警関係者は「3年以上が経過しており、車両の痕跡や遺体が見つかる可能性は低いが、遺留品や金属反応の確認を重ねたい」と語る。今回の捜索には25隻以上の漁船が協力し、延べ100人規模の体制で実施されている。

事件当時、八田容疑者の車は現場から約500メートル離れた地点で発見されており、車内には財布やスマートフォンなどが残されていた。県警は容疑者が意図的に身元を偽装し逃走した可能性も捨てておらず、近隣県を含めた広域捜査も続けている。

この事件は発生直後から大きな波紋を呼んだ。死亡した大学生は県内の名門大学に通う4年生で、就職活動を控えた矢先の悲劇だった。遺族は「息子の無念を晴らすまで、時が経っても捜査を続けてほしい」と訴え続けており、県警は現在も全国に指名手配情報を公開している。

一方で、容疑者の安否をめぐっては「湾に身を投げたのではないか」という情報のほか、「海外へ逃亡した可能性がある」との証言もあり、捜査は長期化している。県警は防犯カメラのAI解析を用いて当時の映像を再検証し、別府市内の防波堤周辺での人物反応を複数確認したとしている。

地域ではいまも事件の記憶が色濃く残る。地元住民の男性(68)は「当時、サイレンの音が夜中まで鳴り響いていた。もう3年半も経つが、警察があきらめていないのは救い」と語った。別府湾沿いの飲食店関係者からも「一日でも早く真相が明らかになってほしい」との声が上がる。

大分県警は引き続き、八田容疑者に関する情報提供を呼びかけている。報奨金制度を活用し、容疑者の目撃情報、遺留品の発見、潜伏先に関する情報などを幅広く募っており、「どんな小さな情報でも構わない」と強調している。

事件から3年半を経てもなお解決に至らない別府ひき逃げ事件。警察関係者は「風化を防ぐためにも、最後の一つの手がかりを見逃さない姿勢で捜査を続ける」としており、別府湾での捜索は今後も継続される見通しだ。

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