【話題】Xで「ツイ廃の王者」を決める異色の大会 第4回「ツイ廃トーナメント」開幕へ

【さけのみ・赤髪・緑刃…“中毒者”たちの本気と遊び心】

X(旧ツイッター)で、ひときわクセの強いお祭りが火を噴いている。
その名も「ツイ廃トーナメント」。
X上で「ツイ廃」と呼ばれるヘビーユーザーたちが、いいねや人気を武器に“界隈ナンバーワン”を競う恒例イベントだ。

「ツイ廃」って結局なに?

そもそも「ツイ廃」とは何なのか。
都内で薬物依存者の支援にあたる団体の役員は、こう説明する。

「ツイ廃は“ツイッター廃人”の略で、X(旧ツイッター)にどっぷり浸かっている人を指すネットスラングです。けれど、本人たちが自分で名乗っているケースも多く、悪口というより自分で自分を笑い飛ばす言葉になっています」

タバコに依存する人を自虐的に「ヤニカス」と呼ぶのと同じで、
「やめられないけど、もう開き直って楽しもう」という空気がにじむ。
依存と批判されがちなSNSを、あえて“遊び”に変えてしまうところに、日本のネット文化らしさがあると言える。

王者・さけのみ 「自信は10。優勝しに来ている」

そんなツイ廃たちの祭典で、ひときわ注目を集める存在がいる。
過去のトーナメントをすべて制してきた“絶対王者”、「さけのみ(@sakenmilove)」さんだ。

あしたの経済新聞の取材に、さけのみさんは少し照れながらも、きっぱりと語った。

「第1回から全部出ています。3大会とも優勝してますね。ツイ廃界隈トップのさけのみです、って言わせてもらいます(笑)」

強気な自己紹介の裏側には、オリジナルのネタツイへの強いこだわりがある。

「パクツイじゃなく、自分で考えたネタで“万バズ”を出すこと。
それがいちばんの喜びで、ステータスだと思っています」

過去の最高記録は25万いいね。
Xの世界で、数字だけでなく「オリジナルであること」を武器に戦ってきたプライドは強い。

「3連覇じゃなく“4連覇目指して”優勝します。
勝てる自信は10。決勝はさすがに緊張しますけど、それも含めてこのトーナメントの面白さですね」

SNSのイベントとは思えない“アスリート感”すら漂う。

「六等星のネタツイ」で挑む新人・赤髪

「少数でも、誰か一人の心を照らせればいい」

一方で、まったく別のスタイルで挑む参加者もいる。
第4回大会が初参加となる「𖢳赤髪𖢳(@1113akagami
」さんだ。

「これまで、いわゆる大バズを経験したことはほとんどありません」

そう前置きしたうえで、赤髪さんは自分にとってのネタツイを丁寧に言葉にした。

「私にとってネタツイは、“多くの人”ではなく“ほんの少しの人”の心を照らすもの。
例えるなら、夜空の六等星みたいな存在だと思っています」

最も反響の大きかった投稿は5,430いいね。
数字だけを見れば“王者”とは差があるが、そのスタンスは一貫している。

今回はチーム制の大会ながら、あえて単独参加を選んだ。

「みんながチームを組む中で、一人でどこまで勝ち上がれるのか。
自分自身を試してみたいと思いました」

自信は10段階で「4」。
それでも「番狂わせを起こしたい」と静かに笑う姿は、王者とは違う意味で、多くのユーザーの心をつかんでいる。

第3の注目株 緑刃-零式-さん

「ツイ廃王・病み垢総本部・新人歌い手・次世代インターネットヒーローです!」

さらに、今回の大会で“台風の目”になりそうなのが、「緑刃-零式-🟩🔪@新人歌い手代表」こと緑刃(@midoriba_kaiser
さんだ。
過去のツイ廃トーナメントはすべて出場している常連ながら、その自己紹介は群を抜いて個性的だ。

「緑刃です。ツイ廃王・病み垢総本部・新人歌い手・イラストレーター・次世代インターネットヒーローです!
Twitterの歌い手といえば僕ですね」

自らを“次世代インターネットヒーロー”と名乗るあたり、ただ者ではない。
歌い手としての活動に加え、イラスト制作や“病み垢界隈”との接点もあるなど、多くの界隈をまたぐ存在だ。

ネタツイについては、こう話す。

「自分の感性を多くの人に見てもらい、つながりを作るための“自己アピール”ですね」

これまでの最大反響は10万いいね前後。
さけのみさんほどではないにせよ、十分すぎる数字だ。

今回のトーナメントに臨む上で、特に口にしたのが、あるユーザーへの感謝だった。

「マニアZさんが“内通のプロフェッショナル”であることを広めたいです。
これまでいろいろ教えてもらったので、その恩返しも兼ねて戦いたいと思っています」

対戦相手として名指ししたのは、「らいらーず」「にんじんず」「なとみーず」など複数のグループ。

「そのあたりは僕が全部倒します。
さけのみさん、ポテトの食べ方がうますぎるので、そこだけはリスペクトしてますけど(笑)」

試合当日の生活リズムだけが少し不安だというが、自信のほどを尋ねると迷いなく「8」と答えた。

「真面目に8くらいですね。ツイ廃デスノートbotがいるブロックはさすがに手強そうですけど」

数々の界隈をまたぎながら、“歌”と“ネタ”と“キャラ”で勝負する緑刃さん。
さけのみさん、赤髪さんとはまた違った形で、トーナメントをかき回しそうだ。

運営が描く「ツイ廃という惑星」

大会を主催するツイ廃トーナメント運営事務局は、この企画の狙いをこう説明する。

「アニメやアイドルでよくある人気投票を、ツイ廃界隈でトーナメント形式にしたものです。
リプライ欄に“推し”の名前を書いて投票してもらい、多かった方が勝ち上がるシンプルなルールです」

過去3回は個人戦だったが、第4回は“グループ文化”を意識したチーム戦に。
開催期間は1月10日から1〜2週間を予定し、すでに115人以上がエントリーしているという。

「ツイ廃界隈という惑星は、Xという宇宙の中に浮かんでいます。
その惑星をここまで育ててくれたXへの“恩返し”として、この企画で少しでも界隈を盛り上げたいと思っています」

SNS上の遊びでありながら、その口ぶりはどこか真剣だ。

専門家「ブランドとコミュニティを同時に育てる場」

分散型SNSの構築支援を行う大阪府和泉市の企業代表は、このイベントをマーケティングの観点からこう評価する。

「トーナメント形式のイベントは、参加者同士の認知を一気に広げます。
応援ポストが大量に流れることで、お互いのフォロワーが交わり、新たなフォロワー獲得にもつながります。運営側にとっても話題が集まるので、うまくいけば“ブランドとコミュニティを同時に育てる場”になり得ます」

「ツイ廃」という言葉は以前から知っていたというが、今回の企画についても「非常に“今っぽい”取り組みだ」と話す。

「SNS依存というマイナスイメージを逆手に取り、“お祭り”としてポジティブに転換している。
その点で、炎上とは違う、持続的な文化になりつつあると感じます」

“廃人”か、“表現者”か ツイ廃たちが映し出す令和の風景

一日中Xを開き、ネタを考え、反応を気にする。
外から見れば「ツイ廃」と呼ばれる人々は、たしかにどこか行き過ぎた存在に映るかもしれない。

しかし、そのタイムラインを覗いてみると、そこには
誰かを笑わせたい人、救いたい人、自分を試したい人、ただ騒ぎたい人
さまざまな“表現者”の姿がある。

ツイ廃トーナメントは、そうした人々が一年に数度だけ一堂に会し、
真剣にふざけて、全力で遊ぶための装置なのだろう。

今年の頂点に立つのは、王者・さけのみさんか。
静かな挑戦者・赤髪さんか。
あるいは、次世代インターネットヒーローを自称する緑刃さんか。

Xという巨大なタイムラインの片隅で、“ツイ廃たちの祭典”は、今年もひっそりと、そして派手に幕を開けようとしている。


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