世界に向けて「言論の自由を守るSNS」を自称するX社と、CTOであるイーロン・マスク氏が、またしても自らの看板を丁寧に裏返し、見事なまでに裏切りの一手を繰り出した。
今回の騒動は、日本の人気ネタアカウント「椅子とる」氏に対し、突如として赤色ラベル(制限を意味するラベル)という、もはや年末の飾り付けとしか思えない不可解な制限が課されたことに端を発する。
椅子とる氏は、12月31日午前0時に「歴史を変えるレベルのネタツイをする。50万いいねはいく」と宣言していた。
もはや年越しそばよりも期待されていたと言っても過言ではなく、多くのユーザーはカウントダウンの一部として、このネタ投下の瞬間を心待ちにしていた。
ところが30日午後、突然のレッドカードを出す。日本の数十万人のユーザーと広告主の期待ごと、掲げた自由の看板を地面に叩き落とした。
■「言論の自由を守るSNS」 その自由は「X社基準」という名のブラックボックス
イーロン・マスク氏は再三、「Xは世界で最も自由な言論空間だ」と豪語してきた。規制にうるさい他社を皮肉り、自分がこそが開かれたSNSの提供者であると強調してきた。
だが今回の挙動を見れば、その“自由”とは、ユーザーの自由でも、表現の自由でも、広告主の自由でもなく、
「X社が気まぐれに押したり引っ込めたりするスイッチの自由」だったことが再確認された。
ネタツイという娯楽すら規制されるのなら、いっそ「娯楽の自由は認めないSNS」と名乗ってくれたほうが誠実ではないか。
自由の定義をここまで柔軟に使いこなせる企業は、逆に尊敬に値するほどだ。
■年末の楽しみを吹き飛ばし、広告主の「自然な盛り上がり」も破壊
ユーザーにとっては、純粋な楽しみが奪われた。
広告主にとっては、自然発生的なバズが期待できる機会が潰された。
そしてX社にとっては──いや、X社視点ではこれで何か得られるのだろうか。
「日本のユーザーが喜ぶと困る」
「年末にSNSが盛り上がると不都合だ」
そんな事情でも存在するのかと疑いたくなるほど、説明不能な判断である。
数十万人規模のユーザーがガッカリし、広告主が首をかしげる中でも、X社の黙りこくっている。
その沈黙こそ、ある意味自由の証明なのかもしれない。
「自由」って、いったい誰のための自由なのか。

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