兵庫県神戸市東灘区に本拠を置く医療機器卸売の株式会社ホクシンメディカル(資本金9000万円)は、2025年12月22日付で神戸地方裁判所から破産法に基づく保全管理命令を受け、事実上の倒産状態となった。保全管理人には幸寺覚弁護士(弁護士法人東町法律事務所、神戸市中央区)が選任されている。
負債総額は2023年3月期末時点で約111億7900万円(債権者約270名程度の見込み)で、医療機器卸業界では近年稀に見る大型倒産となった。同社は1986年(昭和61年)9月に創業、翌1987年7月に法人化した老舗企業。循環器内科向けカテーテル・心臓ペースメーカー、心臓血管外科向け人工心肺装置・人工心臓弁をはじめ、脳神経外科、整形外科、消化器科、放射線科向けの検査・治療機器、医療消耗品を幅広く扱っていた。
神戸本社のほか全国17カ所に営業拠点を構え、中小医療機器商社を主体に大学病院・公立病院など全国の医療機関へ販路を拡大。創業者のトップセールスにより特に関東方面の開拓に成功し、ピーク時の2022年3月期には売上高約408億6000万円を計上、急成長を遂げていた。将来的な株式上場(IPO)も視野に入れ、外部人材の積極登用や組織再編を進めていた。
しかし、2023年3月期には売上高が約351億5300万円へ減少に転じ、資金調達環境が悪化。背景には、2022年10月に架空・循環取引で破綻したアイテック(株)および関連会社のジェミック(株)との過去取引に対する金融機関の疑義が指摘され、融資姿勢が厳しくなったことが挙げられる。さらに、2024年3月に創業代表(北村嘉之氏)が急逝したことで、資金繰りの中核を担っていた体制が崩壊。多方面で支払い遅延が発生し、信用不安が一気に表面化した。同年4月には決済不能に陥り、ホームページで「事業停止のお知らせ」を公表。大半の従業員が退職する中、代表者の交代や登記抹消が相次ぎ、混乱が拡大した。
その後、7月中旬に「再建に向けてのお知らせ」を掲載し、8月9日には事後処理を森保彦弁護士(森田・森法律事務所、東京都新宿区)に一任。個別債権者対応を進める中、2025年10月に元従業員ら債権者から破産を申し立てられ、今回の保全管理命令に至った。(以下、主要年度の売上高推移をまとめた表)
| 期 別 | 売上高(億円) | 主な要因・備考 |
|---|---|---|
| 2004年3月期 | 約105.6 | 100億円突破、全国拠点拡大期 |
| 2021年3月期 | 約379.4 | 新規取引先開拓で急伸、ピークに向けた成長期 |
| 2022年3月期 | 約408.6 | 過去最高、関東方面強化とトップセールス効果 |
| 2023年3月期 | 約351.5 | 減少転換、取引先破綻影響と資金調達難 |
| 負債総額 | 約111.8 | 2023年3月期末時点、2025年12月22日保全管理命令 |
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