漫画サイト「漫画村」の運営者として一躍その名を知らしめ、社会問題の渦中にあった星野ロミ氏(通称:ロミ氏)。その存在は、一部の若者にとっては「天才的なエンジニア」、業界関係者にとっては「海賊行為の王」として記憶されている。
だが、そんな彼が今、ネット上で“裏技の伝道師”として人気を博している。
2024年5月、筆者がメールで行った取材にロミ氏はこう語っていた。
「漫画を読むビュワーの部分が一番大変でした。動画プレイヤーのような快適さを、漫画にも持ち込もうと試みたんです。」
漫画村の設計思想には、エンジニアとしての矜持が色濃く滲む。“違法コピー”の温床というレッテルでは、彼の技術的野心はとても収まりきらなかった。
実際、彼は“批判”に対しても冷静だった。
「感情論でしか生きられない人たちが主なアンチです。リアルでは会ったことがないので、ネッシーのような存在に感じています。」
批判をネッシーになぞらえるあたり、その言語感覚にもただならぬものがある。
そして現在──。星野氏はX(旧Twitter)を拠点に、“合法的な裏技”を次々と発信。検索エンジンの使い方から、通信費節約術、ブラウザ設定の小技まで、生活に密着したネットの知恵を惜しみなく披露している。
彼のポストは「深夜に見ると疲れが吹き飛ぶ」と評され、投稿がバズるたびに「技術力は本物だ」といった声も散見される。
星野氏が過去に語った言葉のなかでも、特に注目されたのが次の一節だ。
「もし漫画村の運営が合法化されたら、また法律の穴を見つけてやろうと思います。」
この「合法の穴を見つける」視点こそが、いまの“裏技系インフルエンサー”としての活動に直結している。違法とされないギリギリのラインで、知識と技術を披露し、人々を唸らせるその姿は、ある種のリベンジとも受け取れる。
もちろん、法令を巡る境界線は常に流動的で、コンテンツの権利者からすれば目を離せない存在であることに変わりはない。
だが一方で、星野氏の発信が若者の“ネットリテラシー”を刺激し、情報の探究心を育てている側面も否定できない。
漫画村時代に彼がアピールした「圧倒的使いやすさ」は、いまや“誰でも使えるネット活用術”という形で進化している。
「文化の発展に必要なのは、図書館のような知の共有空間です」
取材の最後にそう語った星野氏。その言葉は、かつての“海賊版の王”がいまや“知識の航海士”として再出発していることを示している。
かつて一度は法の枠を越えた技術者が、再び“合法という航路”を帆に掲げた今、新たなネット文化の地図を描こうとしているのかもしれない。
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