三菱ケミカルグループ、田辺三菱製薬をベインキャピタルへ約5100億円で譲渡

三菱ケミカルグループ株式会社(東証プライム・コード4188)は2月7日、連結子会社である田辺三菱製薬株式会社(以下、MTPC)を米国大手投資ファンドのベインキャピタル傘下に譲渡すると発表した。同日開催された取締役会で決議され、譲渡額は約5,100億円に上る。譲渡先はベインキャピタルが投資助言を行う「株式会社BCJ-94」であり、2026年3月期第2四半期に譲渡手続きが完了する予定だ。これにより、三菱ケミカルグループは医薬事業から実質的に撤退し、今後は財務体質の改善と注力事業への再投資を進める方針だ。

MTPCは、これまで同グループの医薬事業の中核企業として、革新的な医薬品開発を通じて社会に貢献してきた。しかしながら、治療薬の進化や治療法の多様化によって、残された疾患領域は縮小する傾向にあり、創薬成功率も高くはない状況が続いていた。同社が持続的な成長を実現するためには、莫大な追加投資が必要であり、グループ内での限界が見えていた。

三菱ケミカルグループは2024年11月に発表した長期ビジョン「KAITEKI Vision 35」と新中期経営計画「2029」の方針に基づき、医薬事業の最適なパートナーを模索してきた。その結果、ヘルスケア分野に豊富な投資実績を持つベインキャピタルがMTPCの成長戦略を支援する最適なパートナーと判断。今後は新体制の下で企業価値の最大化を図る方針で合意に至った。

今回の譲渡によって三菱ケミカルグループは得られる資金を活用し、有利子負債を削減することで財務基盤を強化する。また、株主還元の強化にも取り組みつつ、「KAITEKI Vision 35」が掲げる成長領域への再投資を進めることで、同グループのさらなる事業拡大を目指す構えだ。

譲渡対象となるMTPCは、大阪市中央区に本社を置き、医療用医薬品の製造・販売を主力事業としている。同社の資本金は500億円で、1933年に設立された老舗企業だ。今回の譲渡には、MTPC傘下にあるカナダのMedicago Inc.、米国のWelfide International Corporation、同じく米国のAlpha Therapeutic Corporationも含まれる。Medicago Inc.は植物由来ワクチンの研究開発を行っていたが、現在は清算手続き中である。Welfide International CorporationとAlpha Therapeutic Corporationは血漿由来バイオ医薬品の開発を行っていたが、いずれも現在は休眠状態となっている。

譲渡先となる株式会社BCJ-94は、東京都千代田区に本社を置き、ベインキャピタルが投資助言を行う特別目的会社だ。設立は2025年1月とまだ新しい企業だが、株式の保有を通じて対象企業の事業活動を支配・管理する役割を担う。ベインキャピタルの投資ノウハウを生かし、MTPCは新たな成長戦略のもとで再出発を図ることになる。

譲渡手続きは、2025年6月下旬に予定される定時株主総会での承認および国内外の競争法に基づく各国当局の許認可取得が条件となる。譲渡が予定通り進めば、MTPCおよびその子会社は2026年3月期第2四半期に非継続事業として分類され、税引前利益として約950億円を計上する見込みだ。ただし、これは2024年12月末時点の予測であり、今後の状況によって変更の可能性もある。

なお、2025年3月期においては譲渡が連結業績に与える影響は軽微と見込まれている。2024年3月期の連結実績は売上収益が4兆3,872億円、親会社所有者に帰属する当期利益は1,784億円であった。2025年3月期の業績予想は売上収益が4兆4,700億円、親会社所有者に帰属する当期利益は1,120億円とされており、今回の譲渡が同社の業績にどのような影響を与えるか、今後の動向に注目が集まる。 #譲渡 #事業 #ビジネス

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