中国の米不足に日本が支援?SNSで賛否 食料安保と貿易戦略に揺れる政府

日本政府が中国に対し、精米の輸入規制緩和を要請しているとの報道が波紋を広げている。中国国内では干ばつや気候変動による深刻な米不足が懸念されており、これを受けた日本側の動きとされるが、ネット上では「国内の米は大丈夫か」「農家支援になるのか」などと議論が噴出している。

産経新聞が報じたところによれば、日本政府は中国に対し、精米の輸入規制を解除するよう正式に要請した。近年、中国では生産地を襲った天候不順や干ばつが原因で、米の生産量が大きく減少。2023年には、世界的な米不足が20年ぶりの規模に達する恐れがあるとの予測も報じられていた(CNBC、令和5年4月19日)。中国は世界最大の米生産国であるものの、国内生産は天候リスクに左右され、自給率は下落傾向にある。

こうした中、日本政府は対中輸出の拡大を目指し、特に精米の輸出促進に動き出した格好だ。だが、ネット上ではこの対応に対する戸惑いと反発が噴き上がっている。

SNSでは、「まずは日本人が十分に食べられる状況を確保するべき」「輸出したら価格が上がって、結局消費者が損をする」といった声も多く、国内市場の安定を重視する立場が目立つ。

一方で、「中国が本当に日本の米を買うのかは未知数だ。日本の農家だけが振り回される可能性もある」と懸念する意見や、「米だけじゃない、牛肉も輸出しようとしている。中国市場に依存しすぎるのはリスクが高すぎる」と警鐘を鳴らす意見も散見され、対中経済戦略に対する冷ややかな見方が根強い。

今回の動きは、精米輸出の枠にとどまらず、日中の貿易関係における地殻変動の一環とも言える。朝日新聞(令和7年3月22日付)によれば、中国は18年にわたり続いていた日本産牛肉の輸入規制を一部緩和。2026年に習近平国家主席の訪日を見据え、関係改善を模索する意図があるとされる。日本産和牛は中国の富裕層の間で人気が高まりつつあり、今後の輸出拡大により、一定の経済効果も期待されている。

だが、貿易は一方的なものではない。米国ではトランプ大統領が再び関税強化に動き、中国も報復措置として米国産農産物に15%の関税を課すなど、再び貿易戦争の様相を呈している(Yahoo Finance、令和7年3月22日報道)。この不透明な貿易環境の下、日本が中国市場に過度に依存することのリスクは、無視できない現実だ。

中国の米不足は、日本にとって精米輸出の好機と映る一方で、国内の食糧安全保障や米価の安定、消費者への影響という重い課題を抱える。政府が掲げる輸出促進政策は、果たして国民にとって「得策」なのか。求められるのは、透明性のある説明と、内需と外需のバランスを踏まえた慎重な戦略だろう。

SNSで交わされる賛否の声は、政策への不信感の裏返しとも言える。拙速な輸出拡大がもたらすリスクと機会。今こそ政府の責任ある判断が問われている。 #農業 #貿易 #ビジネス

(文・楢岡優香)

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