英高級ブランドの雄、バーバリー・グループ(Burberry Group plc)は15日、2025年3月期(52週)の通期決算を発表した。世界的な高級消費の冷え込みや中国市場の不振を背景に、売上高は前期比15%減の24億6,100万ポンド(約4,800億円)、最終損益は7,500万ポンド(約1,470億円)の赤字となった。CEOのジョシュア・シュルマン氏は「依然厳しい環境だが、ブランド再構築に道筋が見えつつある」と述べ、構造改革「Burberry Forward」による再起を強調した。

■“ブランド刷新”の代償 調整費用29億円、営業損失3億円
バーバリーは2024年後半、経営陣を刷新すると同時に、ブランド戦略を「タイムレス・ブリティッシュ・ラグジュアリー」に再定義。「It’s Always Burberry Weather」などを掲げた全方位型キャンペーンを実施し、旗艦商品のトレンチコートやスカーフの再訴求を進めたが、収益面では苦戦が続いた。
営業損益は29億円の特別費用を含め3億円の赤字(前年同期は418億円の黒字)。特別費用の大半は人員整理や外部コンサルタント費用に伴う構造改革関連の支出で、今後さらに約50億円の費用が2026年3月期に計上される見通しだ。
■中国・韓国での苦戦鮮明、日本は観光消費で健闘
地域別の既存店売上高は、アジア太平洋地域で16%減と最も深刻だった。中国本土では年間で15%減、韓国では18%減。観光回復の恩恵を受けた日本は年間で1%増と唯一のプラスとなった。
欧州・中東・アフリカ地域(EMEIA)は8%減、米州は9%減にとどまり、世界的に高級消費の選別化が進んだ形だ。特に英国ではVAT免税制度の撤廃以降、観光客の購買意欲が著しく減退しており、「欧州最弱の購買地位」との批判もある。
■営業利益率は1.0%、毛利率は62.5%に急落
営業利益率はわずか1.0%(前年14.1%)、毛利率も62.5%(同67.7%)と急落。在庫処分に伴う値引きと為替影響が響いた。
なお、H2(下期)のみを見れば、営業黒字は67億ポンドと上向き、H1(上期)の赤字41億ポンドを埋め合わせた形となった。年間フリーキャッシュフローは65億ポンドで前年比微増。構造改革に伴い、在庫は前年比7%減を達成しており、「需給の適正化による希少性回復に一歩踏み出した」(同社)と強調した。
■希望退職含む1,700人規模の人員整理も視野に
将来的な成長余力を確保すべく、バーバリーは最大100億円規模のコスト削減を計画しており、今後2年間で約1,700人の職務に影響が出る可能性を示唆。調達・不動産・管理部門を中心に見直す一方、顧客向けの投資には影響させないと説明している。
■来期は「回復の第一歩」 上期は再び減益想定
2026年3月期(FY26)の前半は、ホールセール部門の売上が前年比で15%程度減少する見通し。通年では、経営の簡素化とコスト最適化によって営業利益率の回復を目指す。
通期で130億円規模の設備投資を見込み、秋以降の新作キャンペーンでブランド再認知を狙う。実質的な回復の兆しは2025年下半期以降に現れると見られている。
■英老舗ブランドの“再生劇”なるか 投資家の視線は依然厳しく
世界250年以上の伝統を持つ英国発祥ブランドの一角にして、トレンチコートの代名詞とも言えるバーバリーだが、今回の業績悪化を受けて、「時代遅れのラグジュアリー」からの脱却が急務となっている。
ジョシュアCEOは「我々には再建する力がある。持続的で収益性ある成長は必ず取り戻せる」と語ったが、課題山積の船出となった新戦略「Burberry Forward」の成否は、2025年後半の消費動向とキャンペーン効果に大きく左右されることになりそうだ。
※本稿は、バーバリー・グループ plcが2025年5月15日に発表した「52週決算(2025年3月期)」に基づいて作成。数字は1ポンド=196円換算。
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