ニチアス、子会社「君津ロックウール」を解散へ 累積赤字深刻で特別清算と債権放棄

断熱材大手のニチアス株式会社(本社・東京都中央区、東証プライム:5393)は19日、全額出資の連結子会社である株式会社君津ロックウール(本社・東京都中央区)を解散し、特別清算手続きに入ると発表した。あわせて、同子会社に対する約87億5000万円の貸付金について債権放棄を決定。経営再建を断念した形だ。

同日開催の取締役会で決議されたもので、6月上旬には臨時株主総会で正式な解散決議が行われる予定。特別清算は2025年10月頃に完了する見通しとなっている。

長期赤字と資産毀損、再建に見切り

君津ロックウールは1992年に設立され、主にロックウール製の断熱材製品の製造を担ってきた。しかし、エネルギーや原材料の価格高騰などにより採算性が急速に悪化。2024年3月末をもって生産を停止していた。以降は設備などの資産処分を進めていたが、処分が完了したことを受けて、会社としての清算に踏み切ることとなった。

近年の業績は極めて厳しく、2023年3月期から2期連続で売上高が20億円台にまで落ち込み、最終赤字も深刻な状況にあった。直近3期の累積最終損失は約25億円。2025年3月期にわずかに黒字を確保したものの、純資産は▲88億円を超え、事実上の債務超過状態が続いていた。

貸付金87億円を債権放棄、影響は限定的

ニチアスは、同子会社に対し約87億5000万円の貸付金を有していたが、今回の清算にあたり全額を放棄する。この額は同社の連結純資産の約4%に相当する。

ただし、これらの損失についてはすでに2025年3月期の個別決算にて引当を計上済みであり、連結決算上では相殺されるため、2026年3月期以降の業績に与える影響は「軽微」としている。

君津RW、断熱材業界の淘汰象徴に

ニチアスは、石綿(アスベスト)問題に端を発した過去の不祥事を経て、現在ではクリーンな高機能素材メーカーとして再構築を図っている最中であり、今回の決断は資本効率の見直しと非中核事業の整理の一環とも受け取れる。

断熱材業界は、脱炭素社会の到来を受けて省エネ建材への需要が見込まれる一方で、製造コストの高騰や競争の激化により中堅・中小メーカーの淘汰が加速している。今回の君津ロックウール清算は、その現実を改めて突きつけるものとなった。

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