430年の歴史を誇る老舗総合建設業、松井建設株式会社(東証スタンダード・コード1810)は21日、いわゆる「買収防衛策」にあたる大規模買付行為への対応方針(以下、本プラン)を2025年6月開催予定の定時株主総会での承認を前提に、継続することを決定したと発表した。

同社は2022年に現プランの継続を株主総会で承認。今回の決定は、経営の独立性と株主共同の利益の保全を掲げる方針に基づいたもので、2028年までの延長を目指す。
株主の判断機会を確保、対抗措置発動は原則「株主決議」
新たに更新される本プランでは、買収提案に対して取締役会が対抗措置を発動する場合、原則として株主総会での決議を必要とするよう明記された。これは昨今の裁判例や企業統治改革の潮流を意識した動きであり、恣意的な発動を避ける構造が強化されている。
さらに、対抗措置の発動については、社外取締役や社外監査役らで構成される「独立委員会」の勧告を尊重する方針も明記されており、経営陣の暴走を抑制する「セーフティネット」も機能する設計となっている。
明示された「不適切な買収者」への対応
同社が特に警戒するのは、以下のようなケースに該当する買収者だ。
- 真に経営に関与する意図なく、株価吊り上げ目的で取得する「グリーンメーラー」
- ノウハウや資産の収奪を狙う「焦土型」買収者
- 一時的な高配当を狙う短期志向のファンド
- 価格不透明な「強圧的二段階買収」
こうした買収者が事前に必要情報を開示せず、市場外で株式を買い集めるといった行為を行った場合には、新株予約権の無償割当などを含む対抗措置が発動される可能性がある。
株主の意思を尊重する「脱・デッドハンド型」
松井建設の本プランは「デッドハンド型(現経営陣でないと解除できない)」には該当しない。株主総会の決議によっていつでも廃止可能であり、スローハンド型(段階交代)でもない。形式的には東証のコーポレートガバナンス・コードや経産省のガイドラインにも適合しており、法令・指針への整合性が意識された構成となっている。
買収者に求められる「情報開示の徹底」
大規模買付行為が行われた場合、買収者は事前に氏名や買付目的、資金源などの詳細な情報を記載した「意向表明書」の提出を義務付けられる。また、取締役会は必要と判断した場合、最大90日間の評価・検討期間を設け、買付提案の妥当性や代替案の有無などを精査することが可能となる。
この評価期間終了後、必要に応じて株主総会を開催し、対抗措置発動の是非を株主に諮る「株主検討期間」も設けられる。
防衛策の目的は「伝統と信頼の維持」
天正14年(1586年)創業の松井建設は、社寺建築や文化財保全などで高い技術力を誇り、質実剛健な企業体質で知られる。同社は「地道な本業こそが企業価値の源泉」としており、本プラン継続は、そうした伝統や顧客・取引先・従業員との信頼関係を乱さぬよう外部からの圧力を遮断する“盾”の役割を担う。
なお、2025年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で約7.8%を保有。現時点で、松井建設に対して大規模買付の申し入れや打診は確認されていないという。
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