通信大手のNTTドコモが、インターネット専業銀行最大手の住信SBIネット銀行(東証スタンダード上場)を買収する方針を固めたことが29日、明らかになった。早ければ同日中にも正式発表される見通し。ドコモがこれまで金融事業の中核である銀行免許を有する傘下企業を持たなかったことを踏まえると、今回の買収はビジネスモデルの大転換を意味する。

ドコモは通信分野での競争が激化する中、従来の携帯電話依存からの脱却を模索してきた。他の携帯3社──KDDI(auじぶん銀行)、ソフトバンク(PayPay銀行)、楽天グループ(楽天銀行)は既に銀行を含む包括的な金融プラットフォームを確立しており、ドコモは金融領域において後れを取っていた。
買収交渉の枠組みによれば、ドコモはSBIホールディングスが保有する住信SBIネット銀行の株式を取得し、併せて市場に流通する株式も買い進めることで過半数の取得を目指す方針。なお、住信SBIネット銀行の主要株主である三井住友信託銀行は今後も持ち株を維持するとみられる。
住信SBIネット銀行は、SBIグループと三井住友信託銀が共同出資して設立したネット専業銀行で、2023年3月期には当期純利益302億円を計上。住宅ローン分野や法人向けサービスでも強みを持ち、個人ユーザーへの金融インフラの提供を進めてきた。
NTTドコモにとっては、金融サービスの垂直統合を図る格好となり、既存の「d払い」「dポイント」などのサービス群と連携させることで、金融から通信、ショッピング、エンタメまでを包含する独自の経済圏形成を本格化させる狙いだ。ドコモの関係者は「銀行業はこれまでのドコモにはなかった柱であり、金融事業の確固たる足場を築く」としている。
国内では近年、GAFAに代表される海外勢のキャッシュレス・フィンテック分野への進出に対抗する形で、通信・金融・小売の融合が加速。メガバンクや地銀がデジタルバンクへの対応を模索する中、通信キャリアによる銀行買収という流れは、既存の金融秩序にも影響を与える可能性がある。
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