【独自】「卒業要件を満たさず国家試験に合格」岡山の元短大生が語る“見過ごされた教育現場の疑惑”

学科はすでに閉鎖 元学生が語る暴力指導、改ざん疑惑、奨学金制度の“裏側” 法人は全面否定

岡山市内に本部を置く私立の学校法人が、かつて運営していた短期大学の美容関連学科において、教育現場の不適切な運営や国家試験制度の根幹を揺るがすような事案が存在していた可能性があるとして、元在学生が「あしたの経済新聞」に詳細資料と共に情報提供を行った。

証言によれば、学生の単位不足にもかかわらず国家試験を受験・合格した例があったほか、暴力をともなう指導、出席簿の改ざん、学生に対する“口止め”を目的とした誓約書の強要などが日常的に行われていたという。
該当の学科と短期大学はすでに閉鎖されているが、学校法人は現在も各地で教育機関を運営し、国や自治体の補助金を受け続けている。

本紙の取材に対し、法人側は「事実無根」とコメント。関係した元教職員も一様に疑惑を否定している。

画像:学校法人が入居するビル

「あの2年間で人生が変わってしまった」

今回証言を寄せたのは、2008年に該当の短期大学に入学した元学生。美容師国家資格の取得を目指し、岡山県外から入学したという。

「美容師を目指して入学したが、現実は想像を絶するものだった」。そう語る元学生は、実習室の水道からお湯が出ず、冷水での実技練習を余儀なくされたことや、必要な器具や設備が不十分だったことを振り返る。

「当初の教員は国家試験の内容を理解していなかった。学科指導も実技指導も形ばかりで、特に男子学生は放置され、教員による暴力行為を受けたこともある」。提供資料には実名も含まれているが、本紙では被害の性質と今後の取材方針に鑑み、現段階では匿名とする。


「単位が足りないまま、国家試験に合格」

証言で最も重大なのは、美容師国家試験の受験資格に関する内容だ。

「1期生のうち、明らかに授業の出席日数や単位数が足りていない学生がいたが、そのまま卒業が認められ、国家試験を受験して合格した。その後、出席簿を教員が改ざんし、事実を隠した」と元学生は語る。

この指摘について法人側に事実確認を求めたところ、「そのような事実は確認されておらず、学内で出席簿の不正改ざんがあったという報告もない。国家試験の受験資格審査は正規の手続きを経て行われている」と全面的に否定した。

当時教員だった人物にも個別に取材を試みたが、多くは「記憶にない」「当時の詳細は覚えていない」との回答にとどまり、改ざんの事実を認める声は確認できなかった。


「誓約書を書かされた」沈黙を求められた在学生たち

元学生は、在学中に法人側から「法人に対し訴訟を起こさない」という内容の誓約書への署名を求められたとも証言している。

「形式上は自由意志だったが、断れる雰囲気ではなかった。『これ以上問題を起こすな』という圧力だったと感じている」。この誓約書の写しは学生側には渡されなかったという。

法人側はこの件についても、「そのような書面が存在したという記録は残っておらず、訴訟回避を目的として学生に書類の提出を求めた事実はない」としている。


学科は閉鎖、しかし法人は今も補助金対象

問題のあったとされる美容系の専攻学科はすでに閉鎖されている。短期大学も現在は別の名称に変わり、教育内容を一新している。

しかし、学校法人自体は現在も多数の教育機関を運営しており、国からの私学助成金や授業料減免制度、地方自治体による奨学金制度の対象校として支援を受けている。

「過去に不正や人権侵害があったまま、それを検証せずに公的資金が投入されている現状に疑問を感じている。制度があまりに無防備だ」と元学生は訴える。

本紙が岡山県内の美容専門学校関係者に取材したところ、「当時、その短大出身者は採用を見送る傾向があった。教員や指導内容に不安があるという話は業界内では知られていた」との証言も得られた。


声を上げても届かない現実

元学生はこれまで、国会議員、行政、新聞社や放送局、フリージャーナリストなどに繰り返し情報提供を行ってきたという。

「助けを求め続けたが、何年経っても何も変わらない。誰も動いてくれなかった。記録が残っていないことを理由に、事実そのものまでなかったことにされてしまう」。

実際、ある全国紙の記者からは「証言には信ぴょう性があるが、物的証拠がないため記事化できない」と断られた経験もあるという。


教育現場の検証が今こそ必要ではないか

学校法人は疑惑を一貫して否定し、「当時の学科はすでに閉鎖されており、現在の教育事業とは無関係」との姿勢を崩していない。しかし、閉鎖された経緯や成果、対応の記録についての情報公開請求や検証は行われていないままだ。

元学生は最後にこう訴える。

「この話は私ひとりの恨みではない。過去のこととして片付けられ、今後も同じことが繰り返されるのではないかという危機感を持っている。問題に向き合い、過去を検証し、公的資金の透明性を高めることが、教育に関わるすべての人にとっての責任ではないだろうか」

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