JICA「アフリカ・ホームタウン」構想、誤報とSNS炎上で拡大する不信 「売国奴」の声も消えず

今回の炎上を後押ししたのは、国民の間に根強く残る移民への不安である。現在、日本で働く外国人労働者は200万人を超え、欧州各国で見られる治安悪化や文化摩擦が繰り返し引き合いに出される。「アフリカからの移住者が地方都市に流入すれば同じことが起きる」という警戒感が、誤報を真実のように受け止めさせた。さらに、コロナ対策や経済政策において国民の不満がくすぶる中で、「政府やJICAは国民を欺いているのではないか」との疑念が強まっている。加えて「ホームタウン」という名称自体が、チャイナタウンやリトルトーキョーを連想させ、永住的なコミュニティを意味するかのような誤解を呼んだ。

ネット上では「JICAはグローバル勢力の傀儡」「国連の指示で日本を移民国家にしようとしている」「地方が静かに外国に売られていく」といった過激な主張が目立つ。一度火がつけば拡散は止まらない。リポストは数万件に及び、誤情報は既成事実のように語られる。そこに一部自治体が「JICAからの説明が不十分だった」と認めた事実が重なり、国民の疑念はますます深まっている。

責任の所在はどこにあるのか。JICAの発表資料が不明瞭であったために海外メディアが誤解した可能性は否定できない。「アフリカ・ホームタウン」という安易なネーミングが混乱を助長したのも確かだ。政府の説明も後手に回り、国民の間に「事実を隠しているのではないか」という思いを芽生えさせた。林官房長官が「丁寧な説明」を口にしても、火消しに追われる姿は逆に「本当に何か裏があるのではないか」と疑念を強める結果になっている。

この騒動は、JICAが本来描いていた「地方とアフリカのWin-Winな発展」という構想が、誤報と不信によって裏目に出た象徴的な事例だ。アフリカは2050年に世界人口の4分の1を占めるとされ、日本にとって重要なパートナーとなるはずだ。しかし、住民の理解や透明性を欠いたまま事業が進められれば、「国際協力」は「国民不在の売国政策」と受け止められかねない。

政府とJICAが「移民政策ではない」といくら強調しても、国民の間に広がった「日本が静かに売られていくのではないか」という不安は容易には消えそうにない。火種はくすぶり続け、むしろ「国が本当のことを隠しているのでは」という思いを強める結果となっている。

記者:荷品 智樹(あしたの経済新聞 編集部)

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