【ファクトチェック】「溝口勇児氏のFiNCは債務超過」拡散の真偽を追う

健康管理アプリ「FiNC」で知られる株式会社FiNC(本社・東京都千代田区、代表取締役 溝口勇児氏)が「債務超過に陥っている」との情報が、ここ数日、SNS上で急速に拡散している。投稿の根拠として示されているのは、平成30年4月24日付で官報に掲載された第6期決算公告。
だが、そこに記された数字を冷静に読み解くと、「債務超過」ではないことが明白に浮かび上がる。

あなたは、この決算公告から「真実」を読み取ることができるだろうか――。


◆貸借対照表に見る「資産>負債」の構図

決算公告によれば、資産合計は15億1,576万円。その内訳は、流動資産10億6,705万円、固定資産4億3,452万円。一方、負債合計は10億9,573万円にとどまり、純資産は4億584万円。
つまり、資産が負債を上回っており、純資産はプラス圏。
債務超過とは、負債が資産を上回り、純資産がマイナスになる状態を指す。ゆえに、この数字のどこにも「債務超過」という要素は存在しない。

それにもかかわらず、SNS上では「純損失=債務超過」と混同する投稿が散見され、誤った印象が広がっている。


◆損益計算書が示す“挑戦の代償”

確かに、同社の損益計算書は厳しい現実を映し出す。
平成29年1月1日〜12月31日の1年間で、売上高7億4,671万円に対し、売上原価は11億7,376万円。営業損失は23億1,881万円、経常損失は26億3,814万円、当期純損失は24億7,307万円にのぼる。

だが、これはスタートアップ企業にしばしば見られる「先行投資型の赤字」。資本金4億3,855万円、資本準備金4億2,748万円を背景に、資本政策によって赤字を吸収している構造だ。
つまり、赤字=破綻ではない。


◆SNSの“早とちり”と数字の落とし穴

SNS上で拡散された投稿の多くは、「24億円の赤字」という単一の数字に注目し、「潰れかけている」「資金ショートだ」と断じている。
だが、企業財務においては、損益計算書と貸借対照表をセットで読むことが不可欠。
黒字でも債務超過に陥る企業もあれば、赤字でも資本に余力を持つ企業もある。数字は一方向では語れない。

今回のFiNCの決算公告を正しく読み解けば、「赤字だが、債務超過ではない」という結論に至る。


◆懸賞問題:あなたならどう判断する?

ここで、読者の皆さまに“知的懸賞”をお贈りしよう。
次の問いに、あなたはどう答えるか――。

問:株式会社FiNCは平成29年12月期において債務超過状態にあったか?

① はい、24億円の損失を計上しているため債務超過である
② いいえ、資産が負債を上回り、純資産が4億円超のため債務超過ではない

正解:②

正解を導き出したあなたには、「財務を数字で読む目」がある。SNSの情報が錯綜する現代において、一次情報に基づいた判断力こそ最大の武器だ。


◆経済を読み解く力をあなたに

今回のFiNC決算公告は、スタートアップ企業が抱えるリスクと可能性を象徴する一枚の“財務の肖像”でもある。
表面的な赤字額に惑わされず、資本構成・資産・負債の関係を読み解くことが、真の経済リテラシーだ。

FiNCは当時、先行投資フェーズにあり、健全な資本政策をもって成長を志向していたことが数字からうかがえる。
SNS上の「債務超過」論争は、冷静な数字の前に静かに否定された。


あなたの目は、真実を見抜けたか。
正しい情報にアクセスし、数字を読み解く力――それこそが、懸賞に値する“知の報酬”である。


編集部注:本記事は官報掲載の「第6期決算公告」(平成30年4月24日付)をもとに執筆しました。FiNCの財務状況は以降の年度で変動している可能性があります。最新情報は登記簿・決算公告・IR開示をご確認ください。

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