
2025年10月20日午前9時半ごろ、東京メトロ千代田線の代々木公園駅で発生した情報共有のミスにより、乗客を乗せたままの列車が誤って車庫方面へ進入するトラブルが発生した。運転士が異常に気づき、列車は車庫へ進入する前に停止したが、安全確認のため千代田線全線で約1時間半にわたり運転が見合わせとなった。
■誤進入は情報共有ミスが原因
東京メトロによると、代々木公園駅では当時、ダイヤの乱れに対応するための進路設定を手動で行っていた。通常、乗客を乗せた営業列車が車庫方面に向かうことはなく、信号や進路設定によって誤進入は防止される仕組みとなっている。しかし今回は、運行管理側と現場担当者との間で進路情報の共有が不十分であったことが原因とみられている。
誤った進路が設定された結果、代々木上原駅行きの列車がそのまま車庫方向へ進行し始めた。異常に気づいた運転士が直ちに列車を停止させたことで、車庫への完全進入は避けられたという。
■全線停止で約2万8000人に影響
このトラブルの影響で、千代田線は午前9時40分ごろから約1時間半にわたって全線で運転を見合わせた。運転再開は午前11時すぎで、平日の通勤・通学時間帯に重なったことから、東京・神奈川・千葉エリアの広範囲で利用客に影響が及んだ。東京メトロによると、影響を受けた乗客はおよそ2万8000人にのぼったという。
運転見合わせの間、東京メトロは他の路線やJR常磐線、都営地下鉄などに振替輸送を実施。駅構内では代替ルートの案内や払い戻し対応が行われたが、都心部の一部駅では混雑が一時的に発生した。
■再発防止策を検討
東京メトロは「乗客に多大なご迷惑をおかけしました」と謝罪し、原因の詳細を調査中としている。現時点では、進路設定を行う運行管理担当者と現場駅側の情報共有が不十分だったことが直接的な要因とみられる。今後は、運行指令システム内での確認手順の強化や、進路設定時の二重チェック体制の導入を含めた再発防止策を検討するとしている。
東京メトロ関係者によると、通常は自動制御システムによって進路が管理されており、手動設定はダイヤ乱れ時などの特例的な対応に限られるという。今回のような「乗客を乗せた列車が誤って車庫方向へ進入する」ケースは極めてまれだとしている。
■過去にも類似の事例
鉄道安全の専門家は「ヒューマンエラーによる進路設定ミスは完全に排除するのが難しい」と指摘する。過去にも他社線を含め、車庫や分岐線への誤進入が発生した例はあるが、いずれも運転士が異常を察知して停止措置を取ることで重大事故には至っていない。
ただし、都市部の鉄道はダイヤ密度が高く、一つのトラブルが広範囲の路線運行に波及するリスクがあるため、迅速な情報共有体制の確立が求められている。
■安全確認徹底を呼びかけ
今回の件では、運転士の判断が迅速であったことから、けが人や設備損傷などは確認されていない。東京メトロは「現場の冷静な対応で最悪の事態は防げた」としつつ、「今後も安全運行を最優先に、指令・現場間の連携強化に取り組む」とコメントした。
東京メトロ千代田線は、代々木上原~北綾瀬間を結ぶ主要路線で、1日あたり約130万人が利用する。今回のトラブルはその安全体制を見直す契機となりそうだ。
曇りがち
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