
日本を代表する精密モーター大手、Nidec Corporation(以下、Nidec)は最新の会計不正疑惑を受け、株価が急落し、東京証券取引所(TSE)から「特別注意」指定が発令された。Nidecは多くのグループ会社を抱え、世界の自動車・家電分野に部品供給する基幹企業として知られていたが、今回の疑惑により企業統治及び内部統制への信頼が揺らいでいる。
Nidecは9月3日、同社の中国子会社「Nidec Techno Motor」などにおいて、不適切な会計処理の疑いがあるとして、第三者委員会を設置したと発表した。 同社は「複数の文書により、Technoのほかグループ各社が、当社またはグループ会社の経営陣の関与・認識のもと会計上の不適切処理を行った可能性がある」と声明している。
この発表を受け、株価は1日で最大22.5%下落し、史上最大の下げ幅を記録。9月4日の東京株式市場では、Nidec株(証券コード6594)は一時20 %を超える下落となった。 さらに、10月28日にはTSEがNidecに対して「特別注意」指定を発令。これは上場維持を前提としながらも、今後1年間で内部管理体制やガバナンス体制を改善しなければ、上場廃止も視野に入る厳しい措置だ。
また、Nidecは同時に次の対応を発表している。中間配当の停止、株主還元の一環であった自社株買いの中止、そして2026年3月期の業績予想を撤回。 監査法人であるPwC Japanは、同社の財務諸表に対して監査意見を保留しており、財務報告の信頼性に重大な疑義が生じている。
背景には、急速なM&A(合併・買収)展開とグローバルな事業拡大による内部統制の脆弱性が指摘されている。例えば、イタリア子会社において「Made in Italy」と虚偽表示された中国製モーター輸出問題などが報じられており、今回の会計疑惑と併せて企業統治全体が問われている。
投資家や市場の反応も厳しく、インデックスファンドからの資金流出の可能性が高まっている。Nidec株の実質的な流動性増加により、更なる売りが誘発されるとの見方もある。
企業側は「再発防止に向けガバナンス強化と体制見直しに全力を尽くす」と表明しているが、信頼回復には時間を要する見込みだ。今後1年間が、Nidecにとって正念場となる。上場維持という枠組みは残されているものの、今回の疑惑が及ぼす影響は事業戦略・財務基盤・ブランドイメージに広範に及ぶ可能性がある。
曇りがち
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