【話題】私立桐陽高校で教師の“体罰動画”拡散 指導行為をめぐり賛否の声 学校側が調査へ

静岡県沼津市の私立桐陽高校で、授業中に教師が生徒の髪を掴み頭を引っ張る様子を撮影した動画がSNS上で拡散し、体罰ではないかとして物議を醸している。動画には、教師が居眠りしていた生徒に対し「何寝てんだよ!」と声を上げながら注意し、生徒の髪を掴むようにして立たせる姿が映っている。さらに、「あした退学届を持ってこい」と発言する場面も確認されており、ネット上ではその指導の是非をめぐって議論が広がっている。

拡散された動画は数十秒ほどで、教室内の一部生徒がスマートフォンで撮影したとみられる。投稿後まもなくしてX(旧Twitter)やTikTokなどを中心に広がり、「時代錯誤の指導」「指導を通り越して暴力」といった批判的なコメントが相次いだ。一方で、「昔はこれぐらい普通だった」「教師の立場を理解してほしい」といった意見も少なくなく、教育現場での“厳しさ”のあり方をめぐる議論に発展している。

学校関係者によると、動画の男性教員は同校で長年勤務しており、体育系の授業も担当しているという。桐陽高校の広報担当者は取材に対し、「現時点で事実関係を確認中であり、動画の内容や指導の経緯についても詳細を調査している。保護者や生徒に不安を与えたことを重く受け止めている」とコメントした。今後、教育委員会にも報告を行い、関係者からの聞き取りを進める方針だという。

SNS上では、「怒鳴るだけならまだしも、髪を掴むのは暴力行為にあたるのではないか」「厳しさと暴力を混同してはいけない」とする意見が多く見られる一方、「生徒が授業中に居眠りをしていたなら、ある程度の厳しさは必要」「今の生徒は叱られ慣れていない」といった教師側への理解を示す声もあり、世代間で価値観の違いが浮き彫りになっている。

文部科学省の指導要領では、身体的懲戒は禁止されており、生徒に対する指導は「教育的配慮のもと、冷静かつ適正に行うこと」が求められている。近年では、スマートフォンの普及により、こうした学校内での出来事がすぐに可視化されるケースが増えており、教育現場における指導行為のあり方が改めて問われている。

一方で、教育関係者の間では「現場の教員が指導に苦慮している実態もある」との指摘もある。中堅教員の一人は「言葉だけで注意しても生徒に響かない場面も多く、指導と体罰の線引きが曖昧なケースがある。動画の一部分だけが切り取られて広まると、教師だけが悪者にされてしまう」と現場の苦悩を語った。

現在、桐陽高校では当該教師を一時的に授業から外し、内部での聞き取り調査を進めている。教育委員会も報告を受けており、今後の処分や再発防止策の検討を行う見通しだ。学校側は「全生徒が安心して学べる環境を守るため、事実を慎重に確認し、適切に対応する」としている。

今回の一件は、教育現場の“厳しさ”と“暴力”の境界を改めて問い直す契機となった。指導の名のもとで行われる行為が、どこまで許容されるのか――社会全体での議論が求められている。

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