高市早苗首相、女性著名人からの「男に媚びる」批判でX炎上

日本初の女性首相・高市早苗氏の就任後、その外交姿勢をめぐってSNS上で激しい論争が起きている。発端は、シンガーソングライターの柴田淳氏と、元共産党衆議院議員の池内沙織氏による投稿だった。両氏は、高市首相が米国のドナルド・トランプ前大統領と親密に会談する様子を「男に媚びている」と批判し、X(旧Twitter)上で女性蔑視やジェンダー観をめぐる議論が急速に拡大した。

批判的な投稿は瞬く間に拡散され、支持者と反発する利用者の間で激しい意見対立を生んだ。柴田氏の投稿には、「外交の一環として当然の行動」「女性がリーダーであるというだけで過剰に叩かれている」といった擁護の声も寄せられる一方、「政治的立場に甘い姿勢を見せた」などの批判も相次いだ。池内氏は同調する形で「女性であっても、男性権力に迎合するような態度は問題」と主張し、これがさらなる炎上の火種となった。

これに対し、高市首相の支持者や一部の政治評論家は、「外交の現場での友好関係構築を誤解している」と反論。特に、トランプ前大統領との会談については「日米関係の安定に向けた戦略的対話」と位置づけ、批判を「性別による偏見」だと指摘した。ネット上では「男性首相が同じ態度をとっても叩かれない」「女性リーダーにだけ求められる“品格”や“距離感”という価値観そのものが時代遅れ」といった意見が多く見られた。

一方で、音楽業界内でもこの問題は波紋を広げた。柴田氏の発言を受けて、所属レコード会社がSNS対応を協議していると報じられたことから、表現の自由をめぐる議論が再燃。過去にもアーティストによる政治的発言が契約や活動に影響を及ぼした事例があり、今回も「表現者が政治的意見を述べる権利」を支持する声と、「公人への過度な中傷を避けるべきだ」とする慎重論が対立している。特にSNSでは、「芸術家が意見を持つのは自由だが、特定の人物を攻撃するような言葉は違う」との意見が多く、投稿の是非をめぐる議論は収束していない。

社会学者の一部は、この現象を「ジェンダーとリーダーシップの問題がSNS上で可視化された象徴的事例」と分析する。女性が権力の座についたときに、男性リーダーよりも厳しく人格や言動を問われる傾向があることは、過去の国際研究でも指摘されており、今回の炎上はその構造を改めて浮き彫りにしたとも言える。

一方で、政治学者の中には「高市首相の外交姿勢自体に対する政策的批判は少なく、ジェンダー的な側面ばかりが注目されるのは不健全」との指摘もある。批判が「女性首相としてどう振る舞うべきか」という枠組みに集中しており、外交成果や政策評価そのものが議論から抜け落ちているという意見だ。

炎上の発端となった投稿の総エンゲージメント数(リポスト・返信・いいねなど)は、10月末時点で53万件を超えたとされる。メディアの一部は、この件を「表現の自由と社会的責任のせめぎ合い」と位置づけて報道している。SNS上では今も、「発言の自由を守るべきだ」「批判されるのは当然」といった意見が交錯し、論争は沈静化の気配を見せていない。

政府関係者は、「首相の外交活動は国益を最優先に行われており、個人的な感情や性別に基づく評価で判断すべきではない」とコメント。高市首相自身は、この件に直接的な反応を示していないが、官邸関係者によると「ネット上の意見の多様性は承知している。重要なのは政策と成果だ」との考えを示しているという。

今回の騒動は、女性リーダーがどのように評価されるべきか、また表現者がどこまで社会的発言を許容されるのかという二つの論点を浮き彫りにした。SNSが政治的言論の主戦場となる中、今後も同様の議論が繰り返される可能性が高い。社会全体が、性別にとらわれないリーダー像をどう描くのかが問われている。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

アーカイブ