
静岡県富士市の市立中学校で、15歳の男子生徒が授業を抜け出していたところを注意した42歳の男性教師に暴行を加えたうえ、「家族ごと殺す」と脅迫したとして、警察が傷害および脅迫の疑いで逮捕したことがわかった。事件は10月31日午後1時半ごろ、学校内の資料室で発生。男性教師は足を蹴られて軽傷を負い、11月4日に富士警察署へ被害届を提出した。
警察によると、生徒は授業中に教室を抜け出し、資料室でスマートフォンを使用していたとみられる。教師が注意した際、突然態度を硬化させ、暴力に及んだという。暴行の直後には「家族まで殺す」などの発言もあったとされ、教師は恐怖を感じて通報を決意した。警察は生徒の認否を明らかにしていないが、事件当時、複数の生徒が現場付近におり、目撃証言などを基に捜査を進めている。
被害に遭った教師は、「突然蹴られ、抵抗する間もなかった」「発言の内容があまりに過激で、職員室に戻っても震えが止まらなかった」と話しているという。学校側は「事実関係を確認中」とコメントしており、県教育委員会にも報告済みだ。今後、学校内での安全確保策や職員間の連携体制の見直しが急務となる見通し。
今回の事件は、全国の教育現場で増加している「生徒から教員への暴力」の深刻さを浮き彫りにした。文部科学省が発表した2024年度の調査では、全国の小中高で確認された児童・生徒による暴力行為は約8万件に達し、過去最多を更新。特に中学校では、教師への暴行・脅迫が全体の約3割を占め、現場の疲弊が顕著になっている。教育関係者の間では「指導を行うこと自体がリスクとされる時代になった」との声も上がる。
富士市教育委員会は「本件を重く受け止め、学校安全マニュアルの再点検と、教職員の安全教育を徹底する」との声明を出した。市内では過去にも、生徒による暴力行為で複数の教員が被害届を提出した事例があり、背景には家庭環境の複雑化やSNS依存、指導への反発があるとみられる。専門家は「体罰禁止が徹底される一方で、指導に限界を感じる教員が増えている。生徒の心理的ケアと同時に、教師を守る制度が急務」と指摘する。
現場の教員からは、「叱ることが“暴言”と捉えられる一方で、注意すれば暴力を受ける。どちらにしても追い詰められる」との声も出ている。富士市の中学校では、事件後に臨時の職員会議が開かれ、生徒の行動観察や指導記録の共有徹底が確認された。
一方で、SNS上では「少年の家庭環境にも問題があるのでは」「中学生でも人を脅すことの重さを理解させるべきだ」といった意見も広がっている。少年法のもとでは原則として匿名報道となるが、社会の関心は「教育現場での安全確保」と「未成年者の更生支援」という二つの課題に向けられている。
暴力と恐怖の連鎖が続く中、教員が安心して生徒と向き合える環境の整備が求められている。富士警察署は引き続き生徒から事情を聴くとともに、家庭内でのトラブルの有無や背景要因を慎重に調べる方針だ。
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