通信大手KDDIは31日、子会社の広告代理事業において長年にわたり行われていた架空循環取引について、特別調査委員会の報告書を公表した。
公表資料によれば、不正の発端は2018年に遡る。子会社ジー・プランの広告事業において赤字補填を目的とした取引が開始され、その後、複数の代理店を巻き込む形で循環取引が拡大したとされる。最終的には計21社が関与する構造となり、売上の過大計上が常態化していたと認定された。
問題が顕在化したのは2025年である。会計監査人の指摘や一部代理店からの入金遅延を契機に、内部調査が進展し、不正の具体的な疑いが浮上した。これを受け、外部専門家を含む調査体制が構築され、2026年1月には特別調査委員会が設置された。そして同年3月31日、詳細な報告書が公表されるに至った。
業績への影響は甚大である。ビッグローブにおけるのれん減損646億円を含め、売上高や営業利益の過年度修正が行われた。特に架空取引に伴う利益取消や外部流出額は数百億円規模に及び、企業価値への影響は小さくないとみられる。
責任の所在も明確化された。関係子会社の経営陣が相次いで辞任したほか、関与した従業員2名は懲戒解雇処分となった。また、親会社であるKDDIの経営陣についても、報酬の自主返納が決定され、グループ全体の監督責任が問われる形となった。
調査では、不正を招いた要因として複数の構造的問題が指摘されている。具体的には、与信管理の不備、業務の属人化、内部監査の形骸化、新規事業に対するリスク認識の甘さなどが挙げられた。特に、取引の実在性確認が十分に行われていなかった点は、企業統治の根幹を揺るがす問題といえる。
KDDIは再発防止策として、取引先管理の厳格化、購買プロセスにおける権限分離、内部監査体制の強化、グループガバナンスの再構築などを掲げた。また、新たに「グループガバナンス強化対策会議」を設置し、全社的な監視体制の強化を進めるとしている。
一方で同社は、本件が広告代理事業に限定されたものであり、通信サービスの提供には影響がないと強調する。また、不正に関与した関係者に対しては、民事上の損害賠償請求や刑事告訴を検討していることも明らかにした。
厚い雲


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