宮城県気仙沼市――外浜の海で育まれた漁師たちの誇りが、再び立ち上がろうとしている。合同会社KESENNUMA GOOD GOODS(本社・気仙沼市、代表・尾形竜之介/佐藤光彦、以下KGG)は4日、津波で被害を受けた牡蠣養殖筏(いかだ)の復旧と、新たなブランド牡蠣「島乙女」の養殖再開を目指すクラウドファンディングを開始した。目標額は1,000万円。集まった資金は決済手数料を除き、全額が復旧費用に充てられる。
7月30日、ロシア・カムチャッカ半島沖で発生した地震による津波は高さ1メートルに満たなかったものの、気仙沼の漁場に深刻な爪痕を残した。KGGが支援するカネキ水産では、牡蠣養殖に用いる40台以上の筏がすべて流され、ロープやアンカーは切断され、絡まり、一部は海に沈んだままだという。編集部が取材したカネキ水産の担当者は「復旧の目途は立っていない。海の流れは川のように速く、筏を引き上げる作業もままならない」と語る。
打撃はこれが初めてではない。東日本大震災、コロナ禍、さらには今年の牡蠣7割死滅と、度重なる試練に苦しむ中で今回の津波が追い打ちをかけた。資金不足に悩む漁師たちを後押ししたのは、YouTuberでありKGG代表の尾形氏だった。「大手クラウドファンディングでは審査や手数料が大きな負担になる。だからこそ、スピードと想いを優先し、自分たちで立ち上げることを決めた」と尾形氏は語る。独自の仕組みはShopifyとKOMOJUを活用し、一般的な20%前後の手数料を実費5〜7%にまで抑え、集まった支援金をほぼすべて現場に還元できるようにした。
地域の漁師たちも連携しているが、被害の把握に追われ、具体的な復旧作業にはまだ至っていないのが現状だ。それでも、潮流に抗うため1トンものアンカーを複数準備し、少しずつ前進しようとしている。「1メートルの津波でも、これだけの被害が出るのです。私たちは今できることを精一杯やります。どうか拡散と応援をお願いします。復旧した暁には、必ず美味しい牡蠣を届けます」。漁師たちの言葉には、地域の海と生業を守る強い覚悟がにじむ。
今回のクラウドファンディングでは、支援者への返礼として復旧レポートを送る応援コースのほか、牡蠣やホタテのセット、カンカン焼き体験、さらには外浜の筏クルージングといった体験型のリターンも用意されている。募集は9月30日まで行われ、集まった資金は筏やアンカーの修繕、新設、人件費や燃料費、来季の運営資金に充てられる。
KGGは、地域の資源を生かした応援型ECの運営を手がける新しい企業だ。尾形氏は「ニュースでは伝わらない海の中の現実を、支援という形で全国に届けたい」と語る。気仙沼の海は、今も荒波の中にある。しかし、その海に再び活気を取り戻そうという挑戦が、力強く始まっている。
クラウドファンディングはKGGの公式サイトで参加できる。
URL:https://kesennumagoodgoods.jp/products/crowdfunding01
<<次のページに続きます>>
1
2
曇りがち
コメント