生活保護費を不正受給 フィリピン国籍の女を詐欺容疑で逮捕【香川】

香川県警は2025年10月21日、香川県高松市在住のフィリピン国籍の女(45)を生活保護費の不正受給の疑いで逮捕した。女は2019年から2023年にかけて、収入があるにもかかわらずそれを申告せず、総額約423万円を不正に受け取っていたとされる。

高松市によると、女は当時、市内でパート勤務をしていたが、勤務先の収入を福祉事務所に報告していなかったという。市が2024年に行った定期調査で不審な入金が確認され、調査の結果、生活保護法違反の可能性があるとして警察に通報。今回の逮捕に至った。

不正受給の経緯と発覚までの流れ

調べによると、女は日本に長期滞在しており、配偶者の日本人男性と離婚後、生活が困窮したとして生活保護の申請を行い、2020年から受給を開始した。支給開始当初は無収入を申告していたが、翌年以降は複数の事業所で勤務し、継続的に給与を得ていたことが後に判明した。

市は、生活保護受給者に義務づけられている「収入申告」を怠った点を重視し、詐欺容疑での刑事告発を決定。警察は女の口座取引記録や勤務先の給与明細を押収し、不正受給の総額を約423万円と特定した。

女は調べに対し、「生活が苦しかった」「収入を申告すると打ち切られると思った」と容疑を一部認めているという。

香川県内で相次ぐ不正受給

香川県内では、生活保護費の不正受給が近年複数件確認されている。2024年度には県内全体で14件、総額約1,200万円の不正が発覚しており、その多くが「収入未申告」や「同居人の収入隠し」によるものだった。

高松市福祉課の担当者は「支給はあくまで生活に困窮する人を支える制度。正確な申告が前提であり、意図的な虚偽申請は重大な法令違反」と述べた。市は今後、対象者への訪問調査や所得確認の強化を進める方針を示している。

外国籍受給者の取り扱いと制度上の位置づけ

日本では、生活保護制度は日本国民を原則としつつ、永住者や長期滞在資格を持つ外国籍の住民にも「人道的配慮」として支給が認められている。これは1954年に当時の厚生省が各自治体に通知した行政運用に基づくもので、法的には「準用」という形で行われている。

厚生労働省によると、2023年度時点で生活保護を受給している外国籍の世帯は全国で約3万2000世帯、全体の約3%にあたる。最も多いのは韓国・朝鮮籍、中国籍、フィリピン籍などの永住者層であり、いずれも長年日本で生活基盤を築いている人々が中心とされる。

一方で、今回のような不正受給事例は、国籍を問わず発生しており、厚労省は「外国人に限定された問題ではなく、制度運用全体の透明性向上が重要」と説明している。

行政と司法の対応

高松市は今後、女に対して不正に受け取った423万円の全額返還を求める方針。返還が難しい場合には、強制徴収の手続きを取るとしている。刑事事件としては詐欺罪にあたり、懲役10年以下または罰金の刑が科される可能性がある。

香川県警生活経済課の担当者は「市民の信頼を損ねる悪質な事案。今後も関係機関と連携して、制度の適正運用を徹底する」と述べた。

社会的背景と課題

生活保護制度は、戦後の日本社会で「最後のセーフティネット」として運用されてきた。一方で、少子高齢化や物価高騰を背景に、近年は申請者が増加しており、自治体の審査体制にも負担がかかっている。

不正受給が報じられるたびに制度全体への不信感が高まる傾向があるが、実際には制度利用者の大多数が正当な理由で支給を受けている。厚労省の統計によると、全受給者のうち不正受給が確認されたのは0.4%にとどまる。専門家は「不正を厳正に取り締まると同時に、支援を必要とする人が萎縮しない仕組みづくりも必要」と指摘している。

まとめ

今回の事件は、香川県内で発生した生活保護費不正受給の一例として、制度運用の在り方を改めて問うものとなった。行政は外国籍か否かを問わず、正確な申告と適切な支給の両立を求めており、今後は自治体間での情報共有や所得確認のデジタル化など、再発防止策の実効性が焦点となる。

不正の抑止と支援の公平性の確保は、生活保護制度への信頼を守るために欠かせない課題だ。

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