
静岡県伊東市の田久保真紀市長(54)が、市議会で2度目の不信任決議を受け、30日付で失職した。田久保氏をめぐっては、今年5月の初当選直後から「東洋大学法学部を卒業」とする経歴に誤りがあったことが発覚。学歴詐称問題として市民の間に波紋が広がっていた。今回の不信任案は賛成19、反対1の圧倒的多数で可決され、田久保市政は半年足らずで終わることとなった。
田久保氏は伊東市出身。地元企業の役員などを経て市政改革を掲げ、2025年5月の市長選で初当選を果たした。だが、当選後に公式経歴として公表していた「東洋大学法学部卒業」の記述が虚偽であったことが判明。報道によると、田久保氏は中退であるにもかかわらず「卒業」と記載していた。これにより、市議会や市民からは説明責任を問う声が相次ぎ、市政の混乱が続いていた。
6月の段階で市議会は一度、不信任決議を提出したものの、田久保氏は「学歴の誤りは認めるが、悪意はなく市政運営を続けたい」と辞職を拒否。その際、市議会を解散させ、7月に行われた市議選では新たな議員構成のもとで再び市政継続を試みた。しかし、その後も議会との対立は解消されず、主要政策をめぐる審議は停滞。補正予算案の審議も遅れ、市民からは「政治空白を生むな」と批判の声が上がっていた。
再び提出された不信任決議案では、議員の多くが「説明責任を果たさず、信頼回復の姿勢が見えない」として賛成に回った。議会関係者によると、今回の決議は全会一致に近い形で可決されたという。田久保氏は議場で「私の不徳の致すところ」と述べたが、辞職届は提出せず、自動的に失職となった。伊東市選挙管理委員会は、地方自治法の規定に基づき、50日以内に出直し市長選を実施する予定である。
市政関係者の一人は「市民の信頼を失ったままでは、市政の立て直しは困難。今回の不信任は必然だった」と話す。一方で、「田久保氏は女性市長として期待も高かった。わずか半年で失職となるのは残念」との声もあり、市民の間では賛否が分かれている。SNS上では「経歴を偽るのは公人として失格」「小さな誤りでも、説明しなかったのが問題」といった批判の投稿が相次ぐ一方、「実績で判断すべきだ」「失職よりも政策を見てほしい」と擁護する意見も見られた。
田久保氏は失職後、取材に対し「市民の信頼を取り戻したい」と述べ、出直し選挙への出馬を示唆している。関係者によれば、既に後援会関係者が支援体制を整えつつあり、正式な出馬表明は近日中に行う見通しだ。出直し選挙には、前市長の小野達也氏のほか、元県議や企業経営者ら複数の候補が名乗りを上げており、12月に行われる選挙は激戦が予想される。
今回の不信任劇は、市政における「説明責任」と「信頼回復」の難しさを浮き彫りにした。伊東市では観光振興やインフラ老朽化など課題が山積しており、次期市長には混乱収拾と市民との信頼再構築が求められる。
再び選挙に臨む田久保氏がどこまで支持を取り戻せるか、そして市民がどのような判断を下すかが注目されている。
曇りがち
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