「仮面ライダーゼッツ」撮影リハでスーツアクター重傷 ワイヤー落下事故で東映が安全体制を再点検へ

東映制作の特撮テレビシリーズ『仮面ライダーゼッツ』の撮影現場で、アクションシーン中の事故が発生した。スーツアクターとして撮影に参加していた鍛冶洸太朗(かじ・こうたろう)さんが、群馬県前橋市のスタジオ施設で高さ約2メートルの位置からワイヤーごと落下。頭部を強く打ち、頭蓋骨骨折および外傷性くも膜下出血の重傷を負った。事故は6日午前中に起き、関係者の通報を受けて救急隊が現場に到着。鍛冶さんは意識混濁の状態で病院に搬送されたが、命に別状はないという。

関係者によると、事故当時は爆破を伴う本番シーンの直前リハーサルで、宙吊り状態の鍛冶さんが空中からジャンプして着地する動作を確認していたという。その際、ワイヤーを固定する装置の一部が外れ、バランスを失って床面に落下した。現場にいたスタッフがすぐに駆け寄り、応急処置を施したものの、鍛冶さんは頭部を強く打っており、その場で救急搬送が要請された。

警察は現在、ワイヤー装置の整備記録や安全確認手順の有無など、制作会社の管理体制を中心に調査を進めている。前橋署によると、現場では当時、専門の安全監督が常駐していたものの、リハーサル時には本番用の安全装置を簡略化していた可能性もあるという。警察関係者は「人為的な確認漏れか、装置の構造的欠陥か、双方の観点から捜査を進める」としている。

一方、制作元の東映は同日午後、「弊社制作の特撮作品の撮影現場で、出演関係者が負傷する事故が発生しました。現在、原因の究明と再発防止に全力で取り組んでおります」との声明を発表。関係者へのヒアリングを開始し、第三者を含む安全管理委員会を設置する方針を明らかにした。撮影スケジュールは一時的に停止し、今後の放送時期や制作工程への影響を慎重に検討するとしている。

現場スタッフの一人は、「スーツアクターの鍛冶さんは長年にわたって仮面ライダーシリーズを支えてきたベテラン。彼の現場対応力に頼っていた部分もあったが、安全面は制作側が徹底しなければならない」と語る。特撮現場では、撮影効率と安全確保の両立が長年の課題となっており、過去にもワイヤーアクション中の事故や火薬トラブルが報告されている。

SNS上では、「ヒーローを演じる裏で命を懸けている人がいることを忘れてはいけない」「現場スタッフやスーツアクターの待遇改善を考える契機にしてほしい」といった声が多く見られた。

また、ファンの間では「仮面ライダーシリーズは日本の特撮文化の象徴。再発防止とともに、出演者が安心して撮影できる環境を整えるべき」との意見も上がっている。

鍛冶さんは現在、前橋市内の病院で集中治療を受けており、所属事務所関係者によれば「経過は安定しており、意識も戻ってきている」とのこと。医師は全治数か月と見込みつつも、回復次第で現場復帰の意向も示しているという。

東映は今後、全作品のアクション撮影手順を再点検し、安全管理マニュアルの改訂を検討する。長年続く仮面ライダーシリーズにおいて、裏方の安全意識が改めて問われることとなった。

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