
政府の小野田紀美経済安全保障担当大臣は11日、閣議後の記者会見で、2022年7月に発生した安倍晋三元首相銃撃事件から3年を迎えるにあたり、記者からの質問に対し「テロリストに何かコメントすることはない」と明言した。小野田氏はニュージーランドのアーダーン元首相が2019年のクライストチャーチ・テロ事件の際に示した「犯人の名を呼ばない」という対応を引用し、「同様の姿勢を取るべきだと考える」と述べた。
この日の会見では、事件をめぐる被告の動機が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への献金問題や家庭崩壊に対する恨みだった点にも触れられた。記者から「ご自身の感情の整理はついたか」と問われた小野田氏は、「お気持ちの整理については、一生つきません」と静かに答えた。
小野田氏は事件当時、自民党議員として安倍氏と同じ保守派に属しており、事件後も献金問題や政治と宗教の関係をめぐって再発防止策の必要性を訴えてきた。一方で、犯人に関する言及を一貫して避ける姿勢を示し、「社会として暴力に名を与えるべきではない」との考えを繰り返している。
会見後、SNS上では小野田氏の「テロリストにコメントしない」という発言を支持する声が相次いだ。X(旧Twitter)上では「毅然とした態度に感銘を受けた」「感情論に流されない政治家」といった意見が投稿される一方、「質問に答える責任を放棄している」とする批判も見られた。
事件から3年が経過した今もなお、安倍元首相の死は政治・宗教・メディアのあり方に重い影を落としている。小野田大臣の発言は、政治家として「テロ行為を個人の名で語らせない」姿勢を再確認する場となり、国内外の報道機関からも注目を集めた。
なお、政府関係者によると、来月には事件の検証報告書を踏まえた追加的な再発防止策を取りまとめる方針で、警備体制の強化や宗教団体との関係見直しに関する議論が再び加速する見通しだ。
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