X社は自社の利用規約において、他者の個人情報を晒すと脅迫する行為や、本人の明確な同意なく個人情報を公開・共有する行為を明確に禁じている。住所や所在地、連絡先、身分証明書、金融情報、医療情報など、私生活に深く関わる情報の無断公開は厳格に禁止されていると明記されている。
しかし、X社が運営するSNSプラットフォーム「X」上では、こうした規約の理念とは相反する事態が頻発している。とりわけ問題視されているのが、AIサービス「Grok」を用いたニュース機能「本日のニュース」における運用だ。
Xでは近年、いじめや傷害事件とされる動画を投稿する告発系アカウントが注目を集め、これに呼応する形で、いわゆる「特定班」と呼ばれる利用者が、加害者とされる人物の氏名や居住地、勤務先などを推測・断定する投稿を行う流れが常態化している。
問題は、そうした投稿が拡散し「バズる」と、X社自身がそれらをニュース価値のある情報として扱い、「本日のニュース」のソースとして取り上げてしまう点にある。結果として、X社は自らが禁じているはずの個人情報晒しを、自社の判断と責任において拡散する立場に立ってしまっている。
X社の規約では、本人の同意なき個人情報の投稿に加え、個人情報を晒すことを条件に見返りや金銭を要求する行為、晒さない代わりに要求を突きつける行為なども脅迫に該当すると定義されている。それにもかかわらず、規約違反の疑いが濃厚な投稿をAIニュースの材料として採用することは、規約の形骸化を自ら認めるに等しい。
プラットフォーム運営企業にとって、規約は単なる免責文書ではなく、利用者と社会に対する約束である。その約束を破っているのが、他ならぬ運営主体自身であるならば、信頼は急速に失われる。X社には、自社AIとニュース機能の運用体制を根本から見直し、規約と実際の運用の乖離を是正する責任があると言わざるを得ない。
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