日本電信電話株式会社(NTT、東証プライム上場)は9日、商号の変更および監査等委員会設置会社への移行に伴う定款の改定を発表した。商号は現行の「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社(英文表記:NTT, Inc.)」へと改められ、変更日は2025年7月1日を予定。あわせて開催予定の第40回定時株主総会において、定款の一部変更、取締役報酬に関する諸制度の見直し、ならびに業績連動型株式報酬制度の改定案が付議される。
社名変更は、2024年4月に施行された改正NTT法により、従来制度上制限されていた商号表記が柔軟化されたことに起因する。NTTはかねてより国内外において「NTT」の略称で広く認知されており、これを正式な法人名として採用することで、グループ全体の統一感と国際的な認知度の向上を図る。あわせて、NTT東日本およびNTT西日本といった主要子会社についても、それぞれ「NTT東日本株式会社」「NTT西日本株式会社」への商号変更が決定された。
取締役会のガバナンス機能強化を目的とした監査等委員会設置会社への移行も進められる。これは、取締役会による業務執行のモニタリングを一層充実させ、経営の透明性と迅速性を確保するとともに、海外投資家を含む株主層に対する説明責任の徹底を期するものとされている。
この体制移行に伴い、役員報酬制度も見直される。金銭報酬の上限は、これまでの年額6億円(うち社外取締役分2億円)から、年額8億3千万円(同2億円)へと引き上げられ、役員持株会制度の枠も年額5千万円から7千万円に拡大される。また、監査等委員である取締役についても、報酬上限が新たに年額2億円と定められる。
報酬体系の中核を成すのは、業績と連動する株式報酬制度の一層の整備である。中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」に掲げる財務目標の達成度に応じて、役位ごとに設定されたポイント数に基づき、一定の株式が信託を通じて交付される。業績評価指標としては、EBITDAなどが用いられ、評価に応じて最大150%の株式交付が可能とされる。
この制度では、退任時や死亡時、非居住化時など特定の要件を満たした場合に株式が付与される構造となっており、信託期間満了時に未使用の株式が残存した場合には、消却または株主還元策に用いることが定められている。加えて、重大な不正や同業他社への無断転職等が発覚した場合には、報酬の取り消しや返還を求める措置も設けられており、規律の確保に配慮した制度設計がなされている。
さらに、信託期間終了後に残余となる株式や配当金についても、制度の継続に用いるか、当該信託を終了する場合には、会社帰属または第三者機関への寄附に充てることが想定されている。
役員報酬に関する基本方針としては、中長期的な企業価値の向上を重視する姿勢が明確に示されており、月額報酬、賞与(短期インセンティブ)、株式報酬(中長期インセンティブ)を組み合わせた体系的な構造が導入されている。なお、社外取締役および監査等委員である取締役については、独立性の観点から月額報酬のみが支給され、業績との連動は行われない。
報酬水準については、同規模の主要企業との比較や社会情勢を踏まえて市場競争力のある水準に設定されるとされており、報酬の決定にあたっては、独立社外取締役が過半数を占める報酬委員会の審議を経て、透明性と公正性の確保が図られる。
企業活動の変化と制度的な制約の緩和を機に、かつての「電話公社」は、グローバル市場における競争力の再構築に乗り出す。通称から正式名称へと変貌を遂げた「NTT株式会社」は、国内通信業界の象徴としての歴史を土台に、再び大きな転換点を迎えている。 #事業 #ビジネス #ニュース
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