【社会】“悪質ホスト”に新たな法のメス 売春強要、虚偽勧誘…違法行為の温床に風営法改正で対処へ

悪質なホストクラブによる金銭トラブルや性風俗業への斡旋行為が社会問題化する中、政府はついに重い腰を上げた。令和7年5月、風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)が改正され、違法行為の規制が強化された。対象は、売掛金(ツケ)を利用者に背負わせたうえで、売春や性風俗店への紹介に追い込むといった一連の悪質行為で、今後は刑事罰の対象となる。

「恋人」を装い、金と体を搾取

いわゆる「ホストクラブ型」の業態において、利用者に高額な飲食代を支払わせ、返済を口実に売春を強要する事例が後を絶たない。中にはSNSを通じて「支払わないなら顔を晒す」と脅したり、「一緒にいたいなら店に来て」と言葉巧みに誘導するなど、客の好意につけ込む巧妙な手口も横行している。

改正法では、以下の行為が「違法」と明確に定義された。

  • 料金に関する虚偽説明
  • 客の恋愛感情につけ込んだ誘導や売春の勧誘
  • 客が注文していない飲食物の強制提供
  • 金銭支払の見返りに性風俗業への紹介(いわゆる「スカウトバック」)
画像:警察庁提供

これらはすべて「接待飲食営業に係る遵守事項・禁止行為」に追加され、違反者には罰則が科されることとなる。スカウト業者が性風俗業者から紹介料を受け取る行為も、処罰対象となった。

検挙事例も相次ぐ

警察庁によれば、近年、売掛金の返済名目で売春をさせたとして、ホストクラブ従業員やスカウトマンが売春防止法違反・職業安定法違反で相次いで検挙されている。あるケースでは、女性客にソープランドでの勤務を強要。別のケースでは、女性をビジネスホテルに住まわせたうえで売春をさせていた。

これらの行為はもはや風俗営業の枠を逸脱し、組織的な人権侵害に等しい。警察は「ホストクラブ経由での売春強要は明確な犯罪である」とし、立入り検査や摘発を強化している。

無許可営業に厳罰、欠格事由も追加

改正法では、無許可営業に対する罰則も強化された。従来の懲役2年以下・罰金200万円以下から、懲役5年以下・罰金1,000万円以下へと大幅に引き上げられた。

また、営業許可の欠格事由に「売春関与」や「職業安定法違反」も新たに加わり、過去にこうした違反歴のある者がホストクラブやスカウト業を営むこと自体が制限されることとなる。

一人で悩まず、相談を

被害者の多くは、「好きな人に迷惑をかけたくない」「自分が悪い」と自責の念に駆られ、声を上げることができないでいる。だが、警察庁は警鐘を鳴らす。「ホストはあなたの恋人ではない。金と体を搾取する加害者である」と。

警察では、ホストクラブ由来のトラブルに関する相談窓口を設置している。全国共通の相談番号は「♯9110」。また、売春等の強要に関する相談は「♯8891(性犯罪・性暴力ワンストップ支援センター)」、女性向け相談は「♯8778(女性相談支援センター)」まで。

さらに、法的な契約の取り消しや損害賠償請求に関する相談は、法テラス(日本司法支援センター)または消費者ホットライン(188)でも受け付けている。

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