信用調査会社の東京商工リサーチの調査で、東京都千代田区に本社を構える人材派遣業「株式会社アクロスソリューション」が11月21日付で東京地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けたことが分かった。同社の負債総額は約12億6000万円に上ると見られる。
アクロスソリューションは2006年に設立され、携帯電話販売会社を主要取引先に、全国規模の人材派遣事業を展開してきた。札幌から沖縄まで全国に営業拠点を構え、規模拡大を進める中で、Twitter(X)などのSNSで懸賞を行っていた。
しかし、その裏では低採算案件の増加が経営を圧迫していた。さらに、近年は新型コロナウイルス禍の影響や人件費の高騰が追い打ちをかけ、業績悪化に歯止めがかからなかった。
今夏以降、資金繰りの悪化が顕著になると、従業員への賃金未払いが表面化し、SNS上では派遣スタッフや元従業員による告発が相次いだ。「給料が支払われない」「会社からの連絡が途絶えた」といった投稿が拡散し、取引先や派遣スタッフの間で不安が広がった結果、同社は事業継続を断念するに至った。
関係者によると、同社は派遣業界における労働環境の改善を掲げて事業を展開してきたものの、業績悪化に伴い管理体制が脆弱化。契約内容の不一致や派遣先環境の説明不足が相次ぎ、派遣スタッフからの信頼も失っていたという。
今回の破産により、同社と取引のあった中小企業は人材確保に苦慮することが予想され、業界全体に影響が波及する懸念もある。一部の専門家は「派遣業界は労働環境改善の必要性が高まる中で、持続可能な経営モデルを築くことが急務だ」と指摘している。
裁判所の管理下で進められる破産手続きでは、派遣スタッフへの未払い賃金や取引先への補償が大きな課題となる見込みだ。 #東京都 #千代田区 #倒産