
2025年11月2日午後、福岡県八女市で無免許運転と信号無視の疑いで現行犯逮捕された15歳の男子中学生が、逮捕直後に手錠をかけられたまま逃走する事件が発生した。警察によると、少年は現場で警察官ともみ合いになった際にその隙を突いて逃げ出し、以降18時間にわたって行方がわからなくなっていたという。
■ 逮捕直後の混乱、現場での「もみ合い」
事件が起きたのは八女市内の国道交差点付近。少年は無免許で原付きバイクを運転し、赤信号を無視して交差点に進入した疑いでパトロール中の警察官に停止を求められた。しかし、警告に応じずに逃走を図り、最終的に複数の警察官によって取り押さえられたとされる。
その後、手錠をかけられた状態で事情聴取が行われようとした際、少年は突然体を振りほどいて逃走。複数の目撃情報によれば、少年は「離せ!」などと叫びながら走り去ったという。
■ 18時間後に再確保 しかし手錠は外れていた
警察は付近の住宅地や山林を中心に、約100人体制で夜通しの捜索を実施。3日早朝、逃走からおよそ18時間後に少年は市内で発見・再確保された。幸い、少年や周囲にけが人は出なかったものの、発見時には手錠が外れた状態だった。
警察は「どういった経緯で手錠が外れたのかは現時点で不明」と説明。手錠を外すための器具や鍵などは所持していなかったとされ、何らかの方法で金具を外した可能性があるという。一部では「逃走中に第三者の協力を得たのではないか」との憶測も出ているが、警察は関与の有無を慎重に調べている。
■ 少年「警察をおちょくるつもりだった」と供述
再確保後の取り調べで、少年は「警察をおちょくるつもりだった」と供述しており、軽率な挑発行為が動機の一端にあったとみられている。捜査関係者によると、少年は以前から無免許運転や深夜外出などの補導歴があり、警察や家庭裁判所の指導を受けていたという。
また、逮捕前にはパトカーを棒のようなもので叩くなど、挑発的な行動を繰り返していたことも確認されている。警察は「少年が一時的に興奮状態にあった可能性が高い」として、精神的な状態も含めて慎重に調べを進めている。
■ 警察の管理体制にも批判の声
一方で、現場での拘束中に逃走を許した警察の対応に対して、地元住民やSNS上では批判の声が上がっている。
「手錠をかけられても逃げられるのか」「夜通しヘリが飛んでいて怖かった」など、警備体制の不備を指摘する投稿が相次いだ。
福岡県警は「少年事件であっても安全確保を最優先に行動すべきだった。今後、逮捕現場での監視手順を見直す」とコメントしている。
警察実務に詳しい元刑事によると、「少年事件では手錠使用後に警察官が単独で対応するケースもあるが、今回のような逃走は極めて異例。安全と人権のバランスをどう取るかが課題」と話している。
■ 少年法と現場運用の間にある“空白”
今回の事件は、少年法の下での警察対応の難しさを浮き彫りにした。15歳という年齢では刑事罰が科されず、原則として家庭裁判所での審判手続きがとられる。しかし、現行犯逮捕後の逃走は社会的にも重大な影響を与える。
弁護士の一人は「少年事件でも現行犯の逃走は公務執行妨害に相当する可能性があるが、実際の運用では慎重を要する。今回の警察の初動対応が今後の運用議論に影響するだろう」と指摘する。
■ 今後の捜査と課題
警察は、逃走の経路や少年がどこに潜伏していたのかを特定するため、付近の防犯カメラの解析を進めている。手錠が外れた経緯についても、破損の有無や金属部の状態などを鑑定中だという。
今後は、警察内部での再発防止策に加え、少年事件における「逮捕直後の監視体制」や「拘束具の運用ルール」が見直される可能性がある。
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