ポケモンカードゲームなどを取り扱うトレーディングカード専門店「リプレイ名古屋大須店」(運営:株式会社ティージェーエンタープライズ)が、SNS上で未成年による万引き事件を“実況報告”した対応に対し、法的・倫理的観点から強い批判が相次いでいる。
問題の発端は、同店が5月12日午後5時頃、公式X(旧Twitter)にて「学生と見られる男子3人組によるカードBOXの万引きがあった」と公表した投稿。犯行の瞬間や顔が防犯カメラに映っているとしたうえで、翌13日までに来店がなければ被害届を出すと宣言した。
翌日には「普通に来店したため確保し、警察を呼んだ」「少年らは別々のパトカーに乗せられた」といった投稿が続き、一連の対応がSNS上で“実況中継”される形となった。
こうした対応について、ネット上では「企業として未熟すぎる」「正義感を履き違えた行動」「未成年者を見世物にするような振る舞いは感情的すぎる」などの批判が殺到。企業アカウントが少年事件の詳細を逐一投稿するという異例の対応に、波紋が広がっている。
この件に関し、台東区在住で少年法やプライバシー権に詳しい大槻弁護士は次のように語る。
「防犯カメラに映った少年らの顔には一応モザイク処理がされているとはいえ、当該映像の存在や詳細な犯行状況をSNSで発信すること自体が、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する可能性は否定できません。特に未成年者である以上、慎重な配慮が求められます。違法性が高い行為と評価される余地は十分にあると言わざるを得ません」
現代社会において、企業のSNSアカウントは「広報」であると同時に、「社会的責任」の発信手段でもある。今回のように、私的制裁とも受け取られかねない“実況的断罪”は、企業ブランドに深刻なダメージをもたらしかねない。
被害届の提出そのものは正当な法的手続きである。しかし、正当性のある対応を「正義の名のもとにSNSで晒す」ことは、まったく別の問題である。むしろ、そうした姿勢が「少年たちの更生機会を妨げる」といった懸念すら広がっており、企業としてのガバナンス体制そのものが問われている。
リプレイ名古屋大須店とその運営母体である株式会社ティージェーエンタープライズは、今回の対応について速やかに説明責任を果たし、再発防止策を明示する必要がある。SNSでの暴走がもたらす“第2の加害”は、もはや一企業の問題にとどまらない。
曇りがち

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