「7月5日予言」作者、軌道修正へ 高まる関心「防災意識の表れ」

「2025年7月5日に日本を巨大災害が襲う」とする“予言”がインターネット上で拡散し、香港からの訪日観光客の減少要因の一つと指摘されている中、話題の発信源となった漫画家・たつき諒氏(70)が今月、新著を刊行し、「7月5日」への言及について一部修正した。

■「7月5日は“何か起きる日”ではない」

たつき氏は2021年に刊行された著書『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)において、「1999年7月5日に見た予知夢が2025年7月に現実化する」と記し、〈太平洋の海底が破裂し、日本とフィリピンの中間で大規模な津波が発生する〉などと記述。津波の高さは「東日本大震災の三倍に達する」とも予言されていた。

同書は100万部を超えるベストセラーとなり、中国語版も出版されたことから、香港では著名な風水師がこれに呼応する形で「日本で大地震が起きる」と発言。日本政府観光局が今月発表した統計によると、5月の訪日外国人客数は過去最多を更新する一方、香港からの観光客は唯一減少に転じた。

こうした影響を受け、香港の航空会社では日本路線の一部で夏季の減便や欠航を決定している。

■中吊り広告で関心過熱 販売部数106万部に

たつき氏の著書は国内でも注目を集め、飛鳥新社によれば電子版を含む累計発行部数は106万部に到達。都内の地下鉄などでは中吊り広告も目立ち、ネット上では「7月5日が近づいている」と不安を煽る声が散見される。

こうした状況に対し、たつき氏は飛鳥新社を通じて産経新聞に書面コメントを寄せ、予言内容に関する一部の解釈を軌道修正した。

「夢を見た日がそのまま何かが起こる日という意味ではありません。出版時には、私が言ったように書かれた部分もありましたが、急ピッチの編集作業の中で、出版社の意向が強く反映された側面もありました」

また、今月刊行した自伝『天使の遺言』(文芸社)では、「完全版」の出版経緯に関して「本意とは異なる点もあった」とも明かしている。

■「関心は防災意識の高まり」前向き姿勢も

さらに、たつき氏は「皆様が高い関心を寄せてくださっていることは、防災意識が高まっている証拠」とした上で、「災害時に少しでも役立つことがあればと思っており、この関心が安全対策や備えにつながれば」と前向きな受け止めを示した。

■気象庁長官「予言はデマ」 冷静な備え呼び掛け

一方、予言に対しては気象庁も警鐘を鳴らしている。野村竜一長官は13日の定例記者会見で、「現在の科学的知見では、地震の日時や場所、大きさを特定する予知は不可能。よってそのような情報はデマと考えられる」と明言。

その上で、「日本ではいつ、どこでも地震が起こる可能性がある。これを機に、日頃の備えを再確認していただきたい」と冷静な対応を呼びかけた。

■“もう一人の予言者”も後退姿勢

たつき氏と並んで「7月の災害説」の一因とされる香港の風水師も、フジテレビ系「Mr.サンデー」の取材に対し、「4月と5月に危ないと話したが、実際に地震が起きたので7月には何も起きないと思う」と述べた。

ここで言及されたのは、4月18日の長野県北部での最大震度5弱の地震と、5月31日の北海道・釧路沖で発生した最大震度4の地震であるという。

■予言は“デマ”か、それとも“警鐘”か

「予言」が根拠なき風評であると切って捨てるのは容易いが、同時に、日本列島が地震多発地帯にあることも厳然たる事実だ。問題の核心は、予言の真偽ではなく、それをきっかけに私たちが「備える」ことができるかどうかにある。

7月5日が来るのか、何も起きないのか。いずれにせよ、最も重要なのは、どんな“予言”があろうとも、平時の備えを怠らぬ冷静な姿勢ではないだろうか。

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