
広島県内で、里親として1歳の男児を預かっていた夫婦が、男児に対して暴行を加えた疑いで逮捕された。警察によると、夫婦は9月中旬、自宅で男児の頭部をタオルで叩いたり、顔を蹴りつけたり、床に叩きつけるような行為を複数回行ったとみられている。男児には顔に複数のあざが確認されており、外部からの通報を受けて児童相談所が保護した。命に別状はないが、捜査関係者は「深刻な虐待が継続していた可能性がある」として慎重に捜査を進めている。
警察の調べに対し、夫婦は容疑を認めているという。暴行に至った詳しい経緯や動機については捜査が続いており、家庭内でどのような生活状況があったのかが焦点となっている。夫婦が里親登録された経過や、支援体制の妥当性についても、行政側が対応を検証する方針。
厚生労働省によると、日本の里親制度は家庭養育を必要とする子どもたちの受け皿として拡大が求められており、近年、里親委託件数は増加している。一方で、「支援・監督体制の不足」「里親家庭へのフォローアップの遅れ」が課題として指摘されてきた。児童心理に詳しい専門家は「委託後の家庭訪問が十分でなかったり、子育ての負担を一人で抱え込んでしまう里親もいる。行政と支援機関が継続的に寄り添う体制が不可欠だ」と話す。
児童虐待の相談件数は全国で急増しており、令和4年度には約22万件と過去最高を更新。特に乳幼児虐待は発覚が遅れやすく、深刻な事態に発展するケースが目立つ。社会全体での早期察知の仕組みづくりが喫緊の課題だ。
広島県警は今後、暴行がいつから行われていたのか、継続性や悪質性、さらに他の虐待の有無について解明を進めるとともに、児童相談所と連携し男児のケアを継続する方針。地域住民からは「幼い命を守るための制度で悲劇が起きたことは胸が痛む」「行政がもっと家庭の状況を確認できていれば」といった不安と憤りの声が上がっている。
今回の事件は、里親制度の信頼に影を落とす一方で、本来必要とされる家庭養育を止める理由にはならない。虐待予防の観点から、里親家庭への支援と監督体制強化を進めることが求められている。行政・地域・医療機関が連携し、子どもたちを守る仕組みをどれだけ現実に即して機能させられるか、制度の真価が問われている。
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