新紙幣発行から半年、日本全国で“使えない自販機・券売機”問題が依然残る

2025年に発行された新紙幣が全国に流通し始めて半年が経過した。しかし、発行当初から指摘されていた「自動販売機・券売機の未対応問題」は完全には解消されておらず、現場では依然として不便が生じている。特に地方都市や個人経営の飲食店、公共交通機関の一部では、新紙幣に未対応の機械が残っており、利用者が購入を断念するケースも少なくない。

新紙幣への対応が遅れている理由として、確定している事実は主に3点である。

①機器更新に必要な部品の供給が遅れていること。

②メンテナンス人員の不足。

③小規模事業者が費用負担を懸念して対応を先延ばしにしていること。

自販機大手メーカーは、紙幣識別ユニットの交換を進めているものの、全国に約400万台ある自販機および券売機すべてを一斉に更新することは難しく、地域によって進捗に差が生まれている。特に交通インフラでは、新紙幣未対応の券売機が残り、駅員が現金での対応を手作業で行う場面も確認されている。

また、観光地でも課題が見られる。海外からの旅行客が新紙幣の存在を知らずに戸惑うだけでなく、観光施設側が「現金は旧紙幣のみ利用可能」と掲示を出すことで混乱が起きている。新紙幣対応が追いついていない店舗では、「現金は使えるが、一部の額面のみ対応」といった制限が見られ、消費行動に影響を与えている。

一方で、キャッシュレス決済の普及が進み、QRコード決済や交通系ICカード、クレジットカードで代替可能な場面も増えている。実際、政府と民間企業の発表では、都市部のキャッシュレス利用率が上昇し、今回の新紙幣発行をきっかけに、現金依存からの脱却が加速しているというデータが確認されている。

しかし、日本全国での均一な利便性という点では課題が残る。高齢者の多い地域ではキャッシュレス端末の導入が進んでおらず、紙幣未対応の機械が生活動線上に残っているケースもある。また、災害時の現金需要を考慮し、「現金が確実に使える環境」を維持することが重要だという指摘も現場から出ている。

政府は、紙幣識別機の更新を進める事業者への補助制度を継続しており、2025年内に対応率のさらなる向上を目指すとしている。ただし、更新の進捗状況は事業者規模ごとに大きく異なっており、完全な移行完了時期は明確になっていない。

こうした状況から、専門家の間では「新紙幣対応の遅れによる混乱は短期的な現象ではなく、2026年以降も地域差として残る可能性がある」と指摘されている。一方で、利用者側もキャッシュレスと現金の使い分けを工夫しながら、当面は混在状態に対応する必要があるという見方が広がっている。

新紙幣発行は、日本の決済インフラの転換点となり得る大きな出来事だった。しかし半年を経た今、浮き彫りになっているのは「インフラ整備の地域差」「中小事業者の負担」「現金文化の根強さ」である。今後どのように改善が進むかは、事業者・政府・利用者の三者がどのように足並みを揃えるかにかかっている。

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