SNS上の採用実績の表現を巡り、名誉毀損に当たるかが争われた訴訟で、原告企業と同社代表取締役が敗訴した。
大阪高裁は、株式会社Intermezzoおよび同社代表取締役の門口拓也氏が、X(旧Twitter)上の投稿によって名誉を毀損されたとして損害賠償を求めた控訴審で、原告側の請求を棄却した。第一審の大阪地裁に続き、二審でも原告側敗訴の判断が維持された。
争点となったのは、令和5年9月15日に門口氏が投稿した「4ヶ月で採用面談100名、採用40名」という採用実績の報告に対する、ちょめ子氏(chome2xx)の日本年金機構の検索結果に基づく株式会社Intermezzoの従業員数を質問した投稿が、名誉毀損に当たるか否かだった。
門口氏は、SNSマーケティング事業やオンラインスクール事業を展開する株式会社Intermezzoの代表取締役として、XやYouTubeなどを通じて情報発信を行ってきた。同社は平成30年設立、資本金300万円で、大阪市西区に本社を置き、SNSを活用したマーケティング支援やWebコンサルティングなどを主な事業としている。

問題の投稿に対し、ちょめ子氏は、日本年金機構の事業所検索システムに表示された被保険者数と照らし合わせ、採用実績との乖離を指摘する形で疑問を呈した。投稿は断定的な表現ではなく、問いかけの形式を取っていた。
原告側は訴訟で、この投稿が、門口氏および株式会社Intermezzoが採用実績を誇張または偽っているかのような印象を与え、社会的信用を著しく低下させたと主張した。
これに対し、第一審の大阪地裁は、投稿が社会的評価を低下させ得る表現である可能性は否定しないとしつつも、投稿が摘示した事実の重要な部分について真実性が認められると判断した。裁判所は、「4ヶ月で40名」という実績がIntermezzoのものではなく、別法人である株式会社ARIAの実績であり、さらにその内容が実際の採用人数より誇大であった点を重視した。
その上で、当該投稿は企業活動に関する情報の適否という公共の利害に関わるものであり、公益を図る目的で行われたと認められるとして、違法性は阻却されると結論づけた。
控訴審の大阪高裁は、第一審とはやや異なる観点から判断を示した。高裁は、株式会社ARIAが実際に「4ヶ月で40名」を採用していたか否かについては判断を示さず、門口氏の投稿が、別法人の採用実績であるにもかかわらず、株式会社Intermezzoの実績であるかのように強く想起させる内容であった点に着目した。
その結果、ちょめ子氏が、Intermezzoの採用実績が誇大に表示されていると信じたことについて「相当の理由がある」として、真実相当性を認め、原告側の請求を棄却した。
判決後、あしたの経済新聞編集部は、ちょめ子氏に取材を申し込み、書面で回答を得た。
ちょめ子氏は、投稿当時について「門口氏がIntermezzoの従業員募集を行っている様子を見たことがなく、まずそこに疑問を感じた」と説明した。確認のため日本年金機構の検索システムを調べた結果、「SNSで示された採用人数と被保険者数に大きな乖離があることが分かり、採用したのは従業員ではないのかもしれないと思い、質問しただけだった」としている。
提訴を受けた際の受け止めについては、「名誉毀損に当たるほどの投稿だとは考えておらず、それほど深刻には受け止めていなかった」と回答した。
<<2ページ目に続きます>>
1 / 2
曇りがち
コメント