空圧機器や工具製造を手がける日東工器株式会社(本社:東京都大田区、東証スタンダード上場)は5月15日、2025年3月期(第69期)決算を発表した。売上高は前年比0.7%増の272億5600万円と微増を確保した一方で、原材料価格や人件費の上昇により、純利益は26.9%減の13億4500万円となり、2期連続の減益となった。
営業利益は23億4200万円(前年比12.6%減)、経常利益は25億1000万円(同11.0%減)と、いずれも前期を下回った。1株当たり純利益は71円86銭(前期は93円49銭)と、株主への利益還元にも一定の影響が出た。
生成AIで一部需要喚起も、構成比の悪化で苦戦
セグメント別では、主力の「迅速流体継手事業」が半導体関連分野での需要拡大を背景に増収(119億9400万円、前年同期比0.9%増)となったが、製品構成の悪化で営業利益は13.6%減少し20億6700万円にとどまった。
「機械工具事業」は減収減益で、営業利益は4億1500万円(同27.8%減)と落ち込んだ。「リニア駆動ポンプ事業」では欧州でのブロワ需要が回復し、損失は前期の2億3200万円から1億4300万円へと縮小した。「建築機器事業」も堅調に推移し、6.1%の増収となった。
海外売上は92億4800万円と1.0%の増加を示し、連結売上高に占める比率は33.9%に拡大した。欧米地域の販売が下支えとなっている。
自己株式消却と新工場投資が財務を圧迫
資産総額は前期比2.4%増の666億500万円、純資産は581億8300万円(同1.8%増)。新工場建設に伴う建設仮勘定の増加や無形資産の取得により固定資産が拡大した。
一方で、現金及び現金同等物の残高は前年比で53億7600万円減少し134億2900万円となり、財務活動・投資活動の双方で資金流出が目立つ結果となった。定期預金の預入(137億6700万円)や設備投資に加え、自己株式の取得(4億2100万円)も響いた。
営業キャッシュ・フローは27億900万円(同17.4%増)を確保したが、投資キャッシュ・フローは▲68億5200万円、財務キャッシュ・フローは▲13億8500万円となった。
今期も保守的な見通し 水素関連や海外戦略に活路
2026年3月期については、売上高を292億9000万円(前期比7.5%増)、営業利益を6億円(同74.4%減)と見込んでいる。新工場稼働に伴う償却費の増加や、米国の通商政策の影響による不透明感が業績を圧迫する恐れがある。
ただし、生成AIや水素関連、環境対応製品などの成長領域に注力することで、構造的な収益改善を目指す。また、「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」の交付も見込まれており、今後の収益押上げ要因として注視される。
配当維持も配当性向は54%に上昇
2025年3月期の年間配当は39円(中間21円・期末18円)とし、前期比4円の減配となった。利益水準の減少により配当性向は54.3%と高水準に達しているが、「株主への安定的な還元を最優先」とし、減配を避けた。2026年3月期も年間40円の配当を予定している。
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