
兵庫県たつの市で、近隣住民間の関係が大きな問題へと発展した。警察は、近くに住む46歳男性に対し執拗に接触を図り続けたとして、74歳の無職女性をストーカー規制法違反の疑いで逮捕した。女性は容疑を認め、「好意を抱いていたが、相手に交際相手がいると知り、感情が抑えられなくなった」などと説明しているという。
警察によると、女性は複数回にわたり男性宅を訪れ、玄関に自らの気持ちを記したメモを貼り付けたり、生活用品を置くなどの行為を繰り返したとされる。直接的な接触は確認されていないものの、男性は精神的苦痛を訴え、警察に相談していた。
男性は警察の聴取に対し、「日常生活に支障を感じるほど心が休まらなくなった」と話している。日々の生活の中で、見知らぬ人ではなく“すぐそばに住む人物”から向けられる視線や接触は、逃げ場のない圧迫感に繋がったとみられる。
高齢女性が加害者となる本件は、近隣トラブルという限られた範囲の出来事に見える一方、家庭や地域社会の孤立、世代間コミュニケーションの難しさといった、現代社会が抱える課題も映し出す。女性の行為は「恋愛感情に基づく好意」の延長ではあるが、他者から見れば明確な迷惑行為であり、「相手の意思を無視する行為が犯罪に変わる」ことを示している。
警察は、今回のケースに対し早い段階で指導を行っていたが、行為が続いたため逮捕に踏み切ったという。現場の担当者は「年齢や性別に関係なく、他者に不安を与える行為は法に触れる可能性がある。違和感を覚えた際は、ためらわずに相談してほしい」と話す。
これまでストーカー事案といえば、執拗な尾行やSNSでの監視、執念深いメッセージ送信など、比較的若年層や中年層での例が注目されがちだった。しかし近年は、コミュニケーションの希薄化や孤独感を背景に、高齢者によるトラブルも増えていると指摘されている。今回の事件は、その一端が可視化された形だ。
人との距離感を誤り、善意と独善の境界を見失ったとき、人間関係は途端に危うくなる。女性は「拒絶されたことを受け止められなかった」と振り返ったという。
好意の裏返しが、相手にとっては恐怖に変わる。その現実が、静かな住宅地で淡々と浮かび上がった。
警察は、女性の動機や生活状況について慎重に調べる方針だ。
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